36歳女性。
現在は、所有している薬剤師資格を活用し、ドラッグストアでの調剤担当として働いています。
22歳のときに、当時の同級生と結婚し、翌年には子どもを出産。
しかし、元主人との間の生活の不一致などから、26歳のときにはじめての離婚をすることに。
以後、仕事と家庭を両立しながら、男の子を育てるシングルマザーとして活動中。
私が父親を好きな理由1.とにかく娘に優しい父
「私が一人っ子として、両親のもとで大切に育てられたから」という、若干のひいき目もあるかもしれません。
ですが、「私の父を自慢したい！」と、心から思える要素の1つが、父の深い愛情です。
少なくとも、私が物心ついた自分から、父は私に対して、無償の愛情をプレゼントしてくれていました。
たとえば、ごく一般的ですが、お誕生日などの記念日を欠かしたり、忘れた事は一度もありません。
たとえ、どれだけ重要な仕事や出張が入ったとしても、それを断ってまで、私のために早く帰宅してくれます。
プレゼントを手渡してくれたり、得意の手料理を振る舞ってくれたり……。
そんな父の背中をずっと見続けてきた私なので、当然ですが、大人になった今でも、父のことが大好きなんです。
「子どもの可愛いころに、お父さんが優しい」というのは、ごく普通のことかもしれません。
ですが、うちの父の場合は、ちょっと特殊といえます。
私が高校生や大学生、さらには結婚や離婚という、重大事を経験した今になっても、その優しさが変わらないのです。
その優しい性格と人柄で、常に私を包んでくれました。
少し語弊があるかもしれません。
ですが、あるとき、母から「ちょっと妬けちゃうわね」と、冗談めいた事を言われたこともあります。
でも、そんな父の愛情は、私にとって自慢できる大切な要素ですし、それは今も変わりませんね。
残念ながら、現在は高齢となったこともあり、介護が必要な状況に追い込まれています。
父自身も、自分に対する嫌悪感を抱き、自信を喪失した状態になることが、ときどきある状態です。
しかし、今度は私が、父の無償の愛情に対するお返しとして、毎日元気づけています。
私が父親を好きな理由2.別れた元旦那に、毅然とした態度を取ってくれた父
私が26歳を迎えたときですが、当時、「結婚していた男性と離婚する」という経緯に至りました。
離婚の理由もさまざまだったんですが、1番大きい理由となったのが、元旦那のたび重なる浮気行為。
ただ、私自身が選んだ男性だったことや、「結婚する」という報告をした段階で、父から厳しく反対されていた私。
なので、結婚中の浮気に関しては、両親にはまったく報告していなかったのです。
けれど、やはり離婚という結果を迎えたのですから、両親からも「なぜ離婚するの？」と聞かれます。
それに、いつまでも隠し立てするのも、卑怯ですよね。
結局、恥を忍んで、両親に離婚の理由を打ち明けたんです。
それを聞いた途端、父からの言葉に、思わず救われてしまった私。
当初、父の反対を押し切ってまで結婚した私に対して、「『言ったとおりだろう』という嫌味的な言葉が飛んでくるかな」と思っていました。
しかし、父はただ一言だけ、「お前は悪くない」と言ってくれたのです。
そんな父の優しさに、一体どれだけ救われたことでしょうか。
当時、離婚という事実や将来に対する不安でさいなまれていた、私の気持ちが明るくなっていったのです。
それだけでも十分だったのに、父は意外な行動をとってくれました。
それが、不義理な行為を行った元旦那に対する、娘の父親であり、義理の父親としての制裁ともいえる行為です。
父は、元旦那に直接自分で電話をかけ、すぐに私の実家にくるように伝えました。
それから1時間ほどあとでしょうか、嫌々なのが表情でも分かる元旦那が、実家に到着。
玄関で彼を迎えていの一番、父は「うちの大事な娘に謝れ！」と、厳しい口調で怒鳴りつけます。
それとともに、彼の頬に強烈なパンチを1発入れちゃったんです。
さすがに、この行為には私も母も、「あっ」と一言だけ漏らしてしまいました。
ですが、父からの意外な行為と強烈なインパクトもあってか、私たち3人の前で、元旦那は土下座して謝るという結果に。
父は、そんな元旦那の姿を見て、納得したかったわけではありません。
不倫され離婚に至った私の心を少しでもなぐさめるために、あえて嫌な役を買って出てくれたんです。
以前から、父のことが大好きだった私。
ですが、そのできごとがあって以来、父のことがより大好きになってしまいました。
私が父親を好きな理由3.パパという呼び方が大好きな父
私が思春期を迎えた、中学生のころのこと。
父の意外な可愛さが、強烈に好きになったできごとがあります。
私は小さいころから、父のことを「パパ」と、ずっと呼び続けていました。
けれど、小学生から中学生になり、少しだけ大人への階段をのぼりはじめた、ある日のこと。
私は、周りの同級生の女の子たちが、父親のことを「お父さん」と呼んでいるのを見てしまったのです。
それ以来、自分だけ「パパ」と呼ぶことが、強烈に恥ずかしく感じるようになってしまった私。
仕事から帰宅した父に対し、いつも玄関口で「パパ、おかえりなさい」と伝えていたのですが……。
その日は「おかえりなさい、お父さん」と、言ってしまいました。
私にとっては、何気ない行動のつもりだったんですが、父にとっては非常にショッキングなできごとだったそうで……。
家族皆で食べる夕食時も、いつものような笑顔や元気な姿ではなく、明らかに意気消沈しています。
けれど、当時子どもだった私には、そんな父の微妙な変化に一切気づきません。
その後も、「パパ」という呼称から、「お父さん」という呼称にかえて、父のことを呼んでいました。
ですが、次第に違和感を感じはじめたのです。
「父の雰囲気や私に対する接し方がちょっと変かな？」と。
まさか、私の呼び方のせいでそうなっているとは、いざ知らず。
ところが、後日、学校から帰宅したときに、母から呼ばれます。
そのときに、母から「どうして、パパのことを『パパ』って呼ばないの？」と、聞かれたのです。
突然の母からの問いかけに、「え？」と思いつつも、その理由について母に話します。
そのあと、母から意外な事実を打ち明けられたんです。
実は、父が、私が父を呼ぶ呼称がパパではなくなったことに対して、とても寂しい気持ちになってしまったそうで……。
就寝時に、母といつも一緒に寝ていた父が、泣きながら母にそのことを訴えたとのこと。
終いには、「彼氏ができたんじゃないか？」とか「俺の事を嫌いになったのか？」など、とにかく母に対して、質問責めしたそうです。
そのときの父は母曰く、いつもの威厳に満ちあふれた恰好いい父ではなくて、まるで駄々をこねる子どものような状態だったとか。
父の意外な一面を物語ったその事実を聞いた瞬間、私は強烈な罪悪感を感じてしまいましたね。
たとえ同級生が「お父さん」と呼んでいたとしても、私のなかではやっぱり、「パパ」という呼び方がしっくりくるのは事実。
なので、その日を境に、「パパ」という呼び方に戻すことにしたんです。
早速、その日の晩、父が帰宅したのを知って、玄関先でこれまで通り「パパ、おかえりなさい」と伝えます。
すると、一瞬ハッとした表情になったあと、ちょっと照れくさそうに、「ただいま」とぼそっとつぶやいた父。
その表情と照れくさそうな言い方に、なんだか私も照れくさくなってしまいました。
私の些細な呼び方1つで、一喜一憂してくれるそんな父の姿に、父に対する愛情がさらに高まったのは、言うまでもありません。
まとめ
お父さんにとって、娘は恋人という存在以上に、大切で重要な存在なんです。
世のなかには、思春期を迎えたりすることで、一時的に父親のことを避けたり、嫌う女性が多いような気がします。
しかし、それでも、「愛情を伝えてくれる父親のことを大切にしてあげるのが、せめてもの恩返し」と、私は思うのです。