27歳女性。イラストレーター。
昔から理屈っぽかったり、変わり者で少しズレている人ばかり、好きになってしまう恋愛貧乏体質。
現在は、優しくて穏やかな旦那と結婚して、心穏やかな生活を送っています。
最近デジカメを購入したので、桜の満開の時期が楽しみです。
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むかつくけど好きになったエピソード1.ユニークな毒舌で、人気者な彼
私が結婚前最後に付き合っていた男性は、口の減らないムカつく男性でした。
毎日嫌味ったらしいことを言われながらも、大好きだった私。
最終的に別れてしまうまで、その憎まれ口は直りませんでした。
彼とのエピソードをご紹介します。
私はもともとボーカルをメインに音楽活動を行っていましたが、体調不良をきっかけに、2年ほど活動を中止。
そんな最中、バイトの休憩中に古い友人から連絡があり、「友だちがバンドでボーカルを探しているんだけれど、興味ない?」と誘ってくれました。
その「友だち」こそが、私が付き合うことになる彼。
バンドに加入した私はメンバーである彼と知り合い、彼の持つ不思議で掴めない雰囲気に惹かれました。
彼はもともと毒舌家。
「いや~笑っちゃうくらい人間のクズですね!」「あんたド下手糞ですね~。いや、なんでもないです!」
とにかく、おちゃらけた言い方なので、みんなそんな彼の毒舌が好きで笑っていました。
私も、彼のユニークな性格を好きになったうちの一人。
ある日、私が彼の家に遊びに行き、料理をつくることになりました。
むかつくけど好きになったエピソード2.食事が嫌いな彼のムカつく言葉
彼は変わり者で、食事に対して、まったくと言っていいほど興味のない人でした。
彼にとって食事とは「餓死しないために、やらなきゃいけないこと」であり、「楽しむものだ」という感覚はない様子。
「面倒臭いけれど、食べなきゃ死ぬから、仕方なく食べる」といった感じです。
対して私は、美味しいものを食べたり、食事中にお話をして楽しむことが好きな人間。
彼のその気持ちを変えようと思って、ハンバーグをつくってみました。
デミグラスソースも、前日から寝かせて味を染み込ませた自信作。
ですが、彼は私と食事をしながらも、スマホでゲームをしていたり、話しかけても生返事をするだけ。
会話もあまりすることなく、さっさと食べ終わらせて、すぐに食器を片付けてしまいました。
夕食時の団らんが幸せの形だと思っていた私は衝撃を受けて、思わず「食事、そんなに嫌い?」と聞いたのです。
すると、彼は驚きの言葉を言い放ちました。
「前々から嫌いだって言ってるでしょ? 頑張ってつくってくれたって、俺は嫌なものは嫌なんだよね」
その発言に私はショックを受け、とてもムカつきました。
そりゃ、「一緒に食事を楽しみたい」だなんて私の勝手な理想なので、押し付けがましかったかもしれません。
けれども、曲がりなりにも、一生懸命つくったものを「嫌いなものは嫌い」と、バッサリ切り捨てられたら、誰でも嫌な思いになるものです。
私が思わず黙ってしまうと、彼はさらにこう言いました。
「勝手につくったのはあんたでしょ? 俺は別に『つくって』って頼んでないし」
「俺は食べられればなんでもよくて、一生コンビニのパンか冷凍食品でもいいんだよ。無理して頑張らなくていいからさ」と。
なぐさめになっているのか、なっていないのか分からないその言葉に、私は唖然。
また「この人を変えることはできない」と諦めを感じたとともに、「なんでそこまで言われなきゃいけないんだ!」とムカつきました。
そもそも、「30を過ぎた男の考えを変えてやろう」だなんて考えも、おこがましかったのかもしれませんね……。
ですが、そんな彼のムカつくところもなんだか、「自分を持っている」と感じて魅力的に見えたのです。
「こんなムカつく人を好きになる私も、大概変わり者だ」と思いました。
ですが、その日から数日後に、私から交際を申し出て、付き合うことになったのです。
むかつくけど好きになったエピソード3.人間性への否定は、ムカつくを通り越して幻滅
そんなムカつく彼とは約3年間付き合っていましたが、所々にムカつく発言はありました。
髪型を変えても、「俺、あんまり女の人の見た目に興味ないから」と言われたり。
普段女の子っぽい格好をしない私が、珍しくワンピースを着てきても「どうしたの? 似合ってないですよ」と言われたり……。
そのたびに、「この人は、なんて女心が分からない人なんだ!」とムカついた私。
ですが、なんだかムカつけばムカつくほどに、「振り向かせてやる!」と躍起になっていたんですよね。
おかげで料理スキルも向上。
彼のそんな一面を見るたびに、「私にだけ見せてくれる素の姿なんだ」と、頭が恋愛モードに入っていました。
実際、私といるときはリラックスしてくれている彼。
普段みんなに見せない、甘えん坊な姿を見せてくれたりしていました。
甘えたいときにだけ甘えてくる、自分勝手さにムカついたりもしましたが、それなりに仲よく過ごしていましたね。
ですが、一緒に過ごしていくうちに彼の毒舌はだんだんと、私の人間性にまで踏み込んできました。
嫌いな女の子の愚痴を彼にだけ話すと、「あんたって本当に性格悪いよね」と言います。
運転免許を持たない私が、マニュアル車の動かし方を知らないと、「常識がないよね」と言うのです。
寂しくても彼の仕事の邪魔をしないように黙っていたら、「その態度が当て付けがましいんだよね」などと言います。
いつしかだんだんと、私の我慢の限界がきてしまいました。
彼の毒舌家で、ムカつく小憎たらしいところも、好きだった私。
そして、彼の正直に媚びずに物を言うところも好きだったのです。
しかし、その方向性が私の人格否定にまで踏み込まれてしまうと、心が辛くなってしまったので、別れることにしました。
別れる理由を彼に話したときも、相変わらずな彼。
「『正直な人が好き』って言ってたのはあんたでしょ」と、私が傷付いた理由も分からないような素振りでした。
好きになった理由も別れる決意をした理由も、「彼がムカつく」という同じものだというのは、われながら皮肉なことだと思います。
まとめ
ムカつけばムカつくほどに、その怒りのもとを取ろうとする、盲目的な恋愛になってしまうこともあります。
私が彼のどんなところが好きなのかをもっと理解したうえで、早く歩み寄って真剣に向き合っていれば、彼とも上手くいったのかもしれません。