28歳女性。パート社員。
大学3年生のころに「女性ホルモンの数値が低く、排卵が起こっていない」と告げられ、21歳の若さでホルモン治療を開始。現在も、産婦人科にかよいながら、薬の服用と定期的な検査、経過観察を行っている。
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妊婦がうらやましいと感じたエピソード1.生理がこない
大学3年生のころの話です。
当時は、ダイエットをしていて身長が149センチ、体重35キロと低体重でした。
それでも、体は元気で大学にかよっていました。
あるとき、「そういえば、ここ半年くらい生理がきてないな」と、気付きました。
母親に相談すると、「半年も生理きてないのにほっといたの?!すぐに病院に行きなさい!」と、言われました。
「そんなに怒られること?」と、母親の剣幕にビックリしながら、次の日ひとりで産婦人科へ行ったのです。
もちろん、そのころの私は基礎体温も測っていません。
それどころか、最終月経がはじまった日さえよくわからない。
別に、妊娠を希望しているわけでもないので、自分の生理について本当に無頓着でした。
妊婦がうらやましいと感じたエピソード2.医師から言われた言葉
そんな状態で、はじめて産婦人科に行った私。
受付で問診表に記入をし、待合室で待っていると、周りはほぼ妊婦さんでした。
産婦人科なので、当たり前なのですが、こんなに妊婦さんに囲まれる経験ははじめて。
微笑ましい気持ちでした。
そうしているうちに、名前が呼ばれ診察室へ。
医師に、半年生理がきていないことを伝えました。
問診表を見ながら、医師が「まず、やせすぎだね」と一言。
いくつか質問に答え「血液検査をするから、数日後に検査結果を聞きにきてください」とのことでした。
結果を聞きに、産婦人科へ行くと、医師から思ってもいなかった言葉を告げられたのです。
「女性ホルモンの数値が、とても低いんですよ。ほぼ出てないと言ってもいいくらい」と言われました。
言葉の意味が、よくわからなかった私は「どういう意味ですか?」と、聞き返しました。
「女性ホルモンが、ほぼ出ていません。この数値だと、排卵もしていないと思います。」とのこと。
排卵をしていないということは、将来妊娠しづらい、できない可能性があることです。
痩せすぎが、原因の1つと言われ、そこでやっとことの重大さに気付いた私。
今まで、妊娠したいなんて思ったこともありませんでした。
でも、医師から告げられたその言葉に、一瞬で頭が真っ白になりました。
妊婦がうらやましいと感じたエピソード3.産婦人科の待合室が辛かった
診察では、ホルモン剤での治療をはじめていくことを伝えられました。
頭は、いぜんとして真っ白です。
診察をおえて、待合室に行くと、そこには当たり前のように妊婦さんが。
無意識にでしょうか。
ほとんどの妊婦さんが、お腹をなでたりさすったりしています。
命が、そのお腹に入っているのです。
なのに私は、排卵もしていない、「このままだと、将来妊娠できないかもしれない」と言われたばかりです。
今まで、妊娠について考えたこともありませんでした。
結婚や妊娠が、まだまだ先の夢物語みたいな感じだったのです。
しかし、現実に医師から伝えられた言葉のショックさは、想像以上でした。
当たり前のように、私も結婚して妊娠するだろうと思っていたことが、もしかしたらできないかもしれない。
そう思うと、幸せそうな妊婦さんたちのなかで私ひとりが、とてもかわいそうな人みたいに思え、涙が止まらなくなったのです。
「当たり前に妊娠できる体がうらやましい」そう思うと、大泣きしてしましました。
うらやましさと、絶望感が一緒になった涙は、別室に移されてもしばらく止まってくれませんでした。
妊婦がうらやましいと感じたエピソード4.妊娠した友だちに会いたくない
ホルモン剤を使った治療が、はじまりました。
女性ホルモンの含有率の高い薬を服用しながら、毎朝、基礎体温を測る。
ホルモン剤が強く、吐き気やむくみ、眠気がひどかったのですが、なんとか治療のため頑張っていました。
そんなとき、仲の良かった友だちの妊娠を知りました。
「安定期に入って、体調もいいので出産前に会いましょう」といった、内容のメールでした。
もう、私の気持ちはぐちゃぐちゃです。
「おめでとう」と思う気持ち、「普通に妊娠できていいな」という気持ち。
もちろん、その友だちは、私がホルモン治療をしていることなど知りません。
返信をしようと思うのですが、おめでとうの5文字が打てないのです。
友だちに会いたいのに、妊婦さんの状態の友だちには、会えないと思いました。
気付けば、私は泣いていて、結局そのメールに返信はできなかったのです。
妊婦がうらやましいと感じたエピソード5.子どもができるのかわからない
現在も、ホルモン治療を続けています。
当時のような、女性ホルモンの含有率が高い薬ではなく、含有率の低い薬を飲み、定期的に産婦人科にもかよっています。
薬で、生理は安定しましたが、医師曰く、「薬を飲まない状態で、ちゃんと排卵がくるかが問題」とのこと。
この薬は、妊娠をしたいと思ったら服用できないのです。
以前のように、待合室にいる妊婦さんを見て「いいな」と、思うことはなくなりました。
あのときの「いいな」は、当たり前に妊娠できる体を「いいな」と、思っていたのです。
今は、普通に友だちの赤ちゃんや、子どもにも会えるようになりました。
でも、心の奥ではやっぱり複雑な思いがあります。
現在、私は28歳、もう少しで29歳になります。
お付き合いしている彼とは、来年入籍の予定です。
彼は「子どもがいてもいなくても、一緒にすごしていきたいと思ってるよ」と、言ってくれています。
そう言われても、私の複雑な気持ちは消えることはありません。
まとめ
妊婦さんを見て「当たり前に、妊娠できる体がうらやましい」と思って、待合室で泣いた大学3年生のころ。
将来のことはわかりませんが、「少しの希望があれば」の気持ちを持っています。
これからも、妊婦さんのたくさんいる産婦人科にかよい続け、治療と経過観察を行っていきます。