35歳男性。現在は、東京都内のIT企業に勤務。社内には権力を振りかざしたり、無能な上級管理職が存在する。彼らに対して直言したり、拒絶的態度をとる気高い社員が存在することに驚嘆している。趣味は、ロードサイクリングと読書と株式投資。
気高い人のエピソード1.社長側近に尻尾を振らない社員
私の会社には、秘書室長という役職の社員がいます。
創業当時からの社長側近を自負する社員で、取締役たちにも対等な言葉遣いをしています。
日ごろの態度も横柄で、中途採用で入社してくる社員たちには、相手が年上であろうと「キミ誰?」などと言ったりします。
私たち社員のなかでは、この秘書室長の評判は悪く、みんな彼のことを嫌っていました。
しかも、秘書室長は社長への忠誠心をひけらかすことには、きわめて熱心なのです。
ほかの社員に対して、社長への忠誠心を試すかのような行動を取ることがあります。
たとえば、秘書室長が大きなバスケットを手に持って、私が所属する管理本部にやってきました。
管理本部には私の経理部門のほかに、人事部門や広報部門、社内システム部門などあり、多くの社員がいます。
秘書室長が「これ、社長のものすごいお気に入りなんだよ」と言って、手のひらサイズの小さな熊のぬいぐるみを、机の上においていくのです。
「社長がちゃんと見てるから、目立つ場所においておいたほうがいいよ」と、言うのです。
つまり、ぬいぐるみをパソコンのハードディスクの上において、社長に忠誠心を示すことを求めるのです。
ぬいぐるみを机の上においていない社員は、社長への忠誠心がないという意味なのです。
人事部門の年配のマネージャーが、「いらねえよ」と言って、秘書室長の目の前で、ぬいぐるみをゴミ箱に捨ててしまったのです。
そのマネージャーは、秘書室長よりも10歳くらい年長なのですが、その行動に周辺が静まり返りました。
秘書室長は、そそくさと管理本部から立ち去ってしまったのです。
その後も、人事部門のマネージャーは普段通り仕事を続けていますから、たいした人物だと思いました。
気高い人のエピソード2.管理本部長に直言する同僚社員
私が所属している経理部門は、管理本部長の管轄下にあります。
ふだんは管理本部長から、経理部長を介して、私たち社員に業務上の指示があります。
業務の報告は、一般社員から経理部長を介して管理本部長に報告することになります。
その後、管理本部長が取締役へ報告するのが本来の組織の姿です。
ところが管理本部長は、自分から取締役へ報告をしようとせず、経理部長や人事部門長などから報告させようとするのです。
なんども続くものですから、ついに管理本部長に直言する社員が出てきました。
私と同じ経理部門の一般社員です。
彼は私と同じく、経理部内でも役職についていません。
しかし、あるとき「それはキミから取締役に報告しておいてくれ」と指示されたのです。
彼は「本部長は、毎回ご自分から取締役に仕事を報告しようとしないですよね。なぜですか?」と直言してしまったのです。
さらに「仕事を理解できない管理本部長など、不要です」と言い切ってしまったのです。
しかし、彼にはなんのお咎めもありませんでした。
それ以来、管理本部長の顔色は悪くなってしまい、管理本部長については左遷の噂が流れています。
気高い人のエピソード3.社長の知人に対して厳しく接する社員
私の会社には、顧問と称して社長の知人が、社内に出入りしています。
顧問といっても、顧問料を支払っているだけで、指揮権はありません。
また、会社の規則のなかにも、顧問に関する条文は明記されていません。
ところが、数名の顧問が会議室を仕事場にして、常駐するようになりました。
私の会社は、子会社を設立して新規事業を開始したのですが、このビジネスについて直接口を出しているのです。
子会社の社長や部長に対して指揮命令を行っており、社長もそれを容認しているのです。
社長の容認のもと、顧問たちの態度がだんだん大きくなりました。
子会社の社員に対してだけでなく、同じフロアで働いている社員たちにも、偉そうな態度で接してくるようになりました。
しかし、取締役や管理本部長たちも顧問たちに対して、なにも言えません。
そして、しだいに顧問たちは、社長が外出しているときは、社長室を占拠して仕事をするようになりました。
以前から、顧問たちの振る舞いに、不快を感じていた営業部門の社員が直言したのです。
顧問たちに向かって「おまえたち、ここは社長室だ。すぐに出ていけ」と怒鳴ったのです。
みんな呆気に取られて様子を見ていました。
顧問たちは「俺たちは社長から、社長室を使っていいと言われている」と言い返しました。
しかし、「いったいどんな権限があるんだ。顧問契約にちゃんと書かれてるのか」と社員は反論しました。
それを聞いて、顧問たちは、すごすごと社長室から出ていきました。
それ以降も、顧問は会社にはやってきますが、二度と社長室を使うことはありませんでした。
さらに、偉そうな態度で社員たちに接することは、なくなったのです。
あれ以来、営業部門のマネージャーはヒーローとなりました。
まとめ
会社勤めをしていると、どうしてもサラリーマンの習性として、長いものに巻かれがちです。
ところが、なかには気高い人物がいて、理不尽な上位者に対して直言したり、拒絶する振る舞いをしてみせるのです。
なかなか真似することはできませんが、立派だと思うしだいです。