33歳男性。
地方の零細企業に勤務しています。
大学卒業後しばらくニート生活をしていたが、ひょんなことから今の妻と知り合い、結婚を意識。
障害者である妻を支えるために、一念発起して働きはじめる。
両親が住む実家をリフォームして、バリアフリーの2世帯住宅にしました。
現在は両親、私、妻、犬の4人1匹で、毎日を楽しく過ごしています。
見出し
車椅子の女性障害者と結婚したエピソード1.出会い
大学4年生になった私は、とくにやりたいこともなく、就職活動をまともにしませんでした。
結局、就職先が決まらないまま卒業し、実家のある田舎に帰ってきて、たまに日雇いのアルバイトをして、小銭を稼ぐ生活。
「日々のほとんどをダラダラ家で、寝て過ごす」という廃人のような生活をしていました。
そんな生活が2年ぐらい続いたのですが、あるとき衝撃的な出会いをしたのです。
いつものように、家の近くのコンビニに酒を買い出しにいったのですが、その道中で1人、車椅子で立ち往生している女性がいました。
どうやら携帯を落としたらしく、拾おうとしているのですが、車椅子に座ったままなので、手が届かず困っている様子。
それに気づいた私は、「お困りですか?」と声をかけ、携帯を拾って彼女に手渡してあげました。
「ありがとうございます」と、私に微笑みかけた彼女の顔は、今でも忘れることができません。
「世のなかに、こんなキレイな人がいるのか」と、衝撃を受けました。
女性に免疫のない私は、照れ隠しもあり、「気にしないでください」とだけ簡単にあいさつし、すぐにその場をあとにしたのです。
1週間後、コンビニに買い出しに行くと、以前彼女がいた場所に、また彼女がいました。
なんのあいさつもなしというわけにもいかず、「こんばんわ」とあいさつ。
すると、「この間は、どうもありがとうございました」と、丁寧にお礼を言ってくれました。
「1人で大丈夫?」と聞くと、どうやら家はすぐそこらしく、「たまにこうやって、1人で外に出たりしている」と話してくれたのです。
毎週金曜の決まった時間に、コンビニに買い出しに行く私。
それから毎週のように、コンビニに買い出しに行く際には、彼女と少し会話するようになりました。
車椅子の女性障害者と結婚したエピソード2.結婚まで
彼女と毎週会話するようになり、最初は天気の話や流行の音楽の話程度の、軽い会話をしていました。
ですが、だんだんとおたがいの生い立ちや家族の話もするようになったのです。
何度も会って話をするようになり、「そろそろ聞いても、大丈夫か」と思って、なぜ車椅子なのか聞いてみました。
彼女の話によると、昔は普通に五体満足で、健康な体だったそうで……。
20歳を目前に、車の事故にあって、そのときに下半身が動かなくなり、車椅子になったそうです。
そのときは関東の女子大に通っていたらしく、「一番楽しい時期だった」と言っていました。
毎日の大学の授業、サークル、バイト、飲み会などいろんなことが楽しかったそうです。
そんな楽しい生活が、たった一度の事故で失われてしまい、一生車椅子生活に。
事故直後は、友人や家族に支えてもらいながら、大学生活を続けていたそうです。
ですが、やはり、他人の負担になっていることに耐えられなくなり、実家に戻ってきたとのことでした。
その後は生きる目標もなくなり、「家にずっと引きこもって、生活していた」と言います。
人生にとくに希望や目標もなく、ただ惰性で毎日を生きる生活をしていた私は、その話を聞いたとき、「自分と同じだな」と思いました。
そのことを正直に彼女に伝えると、「人生って難しいよね」と言ってくれたことを覚えています。
そんな深い話をしたあとは、より2人の仲が親密に。
最初は、会って話す時間が5分から10分ぐらいでした。
ですが、次第に、30分から1時間ぐらいにと、長くなっていったのです。
そんなやりとりが、半年ぐらい続いたころのこと。
私は、「自分は彼女のことが好きなんだ」と、気付いたのです。
「彼女を守りたい」
そう思った私は、バイト生活に終止符を打つべく、ハローワークの求人に片っ端から申し込みはじめました。
そして、ようやく零細企業ではありますが、正社員になることができたのです。
そのことを彼女に報告すると、「急にどうしたの」と驚いていました。
ついこの間まで、「人生に希望も目標もない」と言っていた人間が、突然やる気を出しているのですから、当然です。
私は、「○○(彼女)を守るために、ちゃんと就職して一人前になろうとしている」と伝えました。
そして、「結婚を前提に、付き合ってください」と、交際を申し込んだのです。
彼女はとても驚いていましたが、笑顔で「はい」と言ってくれました。
車椅子の女性障害者と結婚したエピソード3.結婚
この間まで、家で寝てばかりだった息子が、急にスーツを着て就職活動をはじめ、就職先が決定。
そのうえ、職が決まったと思ったら、今度は休日返上で働きまくっている。
そんな様子を見た両親があるとき、「急にどうしたんだ、お前」と聞いてきました。
私はいい機会だから、彼女ができたことを伝えました。
「結婚を前提に、付き合いはじめた彼女がいるから、俺は必死なんだ」
そのように、力説したところ、喜んでいる両親。
ただ、彼女が車椅子の障害者であることを、そのときは伝えることができませんでしたね。
就職してから3年間、私はひたすら働きました。
ただでさえニート期間中に、同世代に遅れているわけですから、その遅れを取り戻そうと、本当に頑張ったと思います。
働きはじめて4年目ぐらいには、ある程度仕事も覚え、給料もあがり、彼女を養っていく自信がつきました。
あまり待たせてしまっても、彼女を不安にさせるだけなので、「このタイミングで」と決意。
両親には「彼女を連れてくるから」とだけ伝え、当日車椅子の彼女を連れて、実家に行きました。
どんな反応をするのか、正直怖かったのですが、「廃人みたいな生活をしていた、息子の嫁にきてくるなんてありがとう」と喜んでくれた両親。
その後はトントン拍子に話が進み、30歳を目前にして彼女と結婚しました。
車椅子の女性障害者と結婚したエピソード4.結婚後
結婚が決まってすぐ、両親が同居の提案をしてきました。
彼女は一応、「1人で生活できる」と言っていますが、車椅子の障害者です。
「なにか合ったときに、誰か一緒にいたほうがいいだろう」とのことでした。
「実家には土地が余っているので、リフォームがてら増築して、バリアフリーの2世帯住宅にしてはどうか」
お金も、半分は両親が出してくれると言ってくれました。
仕事中に彼女の心配をしなくてすむので、大賛成だった私。
彼女自身も「とくに問題はない」ということで、両親との同居が決まりました。
私たち夫婦は、子どもはもつことはできませんが、そのかわりに犬を飼うことに。
一緒にペットショップに行って、彼女が気に入ったゴールデンレトリバーに決めました。
名前はフランキー君です。
毎日家のなかを走り回ったりして、騒がしいですが、子どもができたような感じで、毎日がとても楽しいですね。
まとめ
障害を持つ彼女と結婚したけれど、毎日を楽しく過していることを分かってもらえたでしょうか。
私に生きる目的を与えてくれた、彼女とかわいいワンコとの生活は、本当に最高です。