33歳、女性。
結婚後は専業主婦。
母は美人なのに私がブスなのは、父のせいだと思っている。
歳をとってますます父に似てきたが、性格は母にそっくり。
趣味は読書。
「ブスがやっても」と思いつつ、美容系のエッセイを読むのが好きです。
見出し
「ブス」と言われたエピソード1.コンビニで見知らぬ男性から「おい、そこのブス」と話しかけられた
これは私が高校生のときの話です。
当時私は、市内の普通科高校に通っていました。
高校の制服は、黄土色のジャンパースカートに、クリーム色のシャツという恐ろしいダサさ。
そのため、制服を着ているだけで、私のブスっぷりは10割増しだったと思います。
自宅は山奥にあるため、自転車通学の私は、街まで行くともう汗だくです。
癖っ毛なので、汗をかくと前髪がくるりと丸まり、セーラームーンのような状態に。
そんなわけで私は、通学中はできるだけ、人目に触れないように行動していました。
しかしその日は、母が寝坊をしてしまい、お弁当をつくってもらうことができなかったんです。
学校まで行く途中で、昼食を調達する必要がありました。
そこで私が選んだのが、学校の近くのコンビニです。
当時、私の通学路にあるセブンイレブンはそこだけ。
そのとき私はどうしても、セブンのちぎりチョコパンが食べたかったんです。
無事に目当てのパンを購入し、コンビニを出たときのことでした。
喫煙所にいた20代後半くらいの男性が、こちらに声をかけてきたんです。
はっきりとは聞こえませんでしたが、私には「おい、そこのブス」と言われたように感じました。
思わず、男性を凝視しましたが、もちろん知らない人です。
そのころの私には、すでに自分がなかなかのブスだという自覚はありました。
ですが、街中でそんな風に呼びかけられるほどのブスだとは、思ってなかった私。
しかし、戸惑う私に男性はもう一度、「そこのブスっつってんだよ」と言ったのです。
「あ、これはやばい人だ」と感じたので、私は返事をすることなく、急いで自転車に乗ってその場を離れました。
だけど、見知らぬ人にまで「ブス」と呼ばれたショックは、なかなか消えることがなく……。
それからしばらく、そのコンビニへ行くことができなくなりました。
「ブス」と言われたエピソード2.大学の同級生が私のことを「あのブスな人」と言っていた
高校を卒業した私は、地元を離れ、同じ高校からは誰も進学しなかった大学へ入学しました。
とくに「高校時代の人間関係をリセットしたい」というような意図はありません。
地元からは距離があることもあって、私以外は誰も、わざわざその大学を選ぼうとは思わなかったようです。
そんなわけで私は、大学入学と同時に、人間関係を一からつくりあげなければならなくなりました。
しかし、これはコミュ障の私にとって、大変辛いことになったのです。
私が専攻していたのは心理学で、幸い同じ専修コースを選択していたのは20人ほど。
「高校の1クラスよりも少ない人数なら、なんとか溶け込めるかもしれない」と思ったのです。
しかし、容姿は残念でコミュ力も低く、学業もパッとしないため、同級生からの印象がかなり薄かった私。
なかなか、仲のいい友だちはできませんでした。
「どうしたらいいんだろうな」と悩みつつ、ひとりで学食にきたとき、ある会話を聞いてしまったんです。
それは、同じ心理学コースの男の子Aくんと、Bくんの会話でした。
私が座った席は、ちょうど彼らのななめ後ろで、2人は私がそこにいることには気がついていなかったようです。
話題は、どうやら心理学コースの親睦会のこと。
2人が幹事になって開催しようと、メンバーをリストアップしているところのようでした。
すると、Aくんが「あの人はどうする?」と言い出したんです。
「あの人って誰よ」とBくん。
「あのいつもひとつ結びの……、髪の毛くるくるしてる……」、どうやら名前が出てこない様子のAくん。
私は「髪の毛くるくる」で、「間違いなく私のことだな」と考えていました。
「あー、えーっとなんだっけ、名前忘れたな」と、うなるBくん。
そんな会話に「私、私!」と出ていくことができれば良かったのでしょうが、もちろん私にそんな積極性はありません。
どうなることかと見守っていると、Aくんが「あのブスな人だよ」とぽつりとつぶやいたんです。
その直後Bくんに「おまえ、その言い方はないだろ」と怒られていたものの、その後2人の会話に出てきたのは、もちろん私の名前。
「男性陣の共通認識としても、私はブスなんだなあ」と思うと、なんだか切ない気持ちに。
それがきっかけで、その後は大学で積極的に友だちをつくるのをやめてしまいました。
「ブス」と言われたエピソード3.親戚から「ブスなんだから、女の子らしく」と言われた
これはまだ私が自分の容姿について、深く考えたことのなかった幼いころのことです。
祖父母が健在だったころ、母はよく私たちを連れて、実家へ遊びに行っていました。
母にはきょうだいが3人いて、一番上のお兄さんは祖父母と同居していたんです。
ですから、遊びに行くといつも、伯父とその子どもたちと顔を合わせることになりました。
伯父の子どもたち、つまり私のいとこたちは、私たちきょうだいと年ごろが近く、いつもみんなで転げまわって遊んでいます。
そんな私たちを見て、伯父は時折厳しい顔をしていました。
そんなある日、いつもはふざけてばかりいる伯父が真剣な顔をして、私を呼び止めます。
そして伯父がこう言ったのです。
「おまえはブスなんだから、せめてもっと女の子らしくしないと、お嫁にいけないよ」。
とくに私は男兄弟しかいないので、伯父は女の子らしくない言動が気になっていたのかもしれません。
しかし、自分はもちろん、他人の容姿の良し悪しすらわかっていない幼児に、そんなことを言って、なんになるというのでしょう。
成長して伯父の言葉の意味がわかったとき、私はとても落ち込みました。
それに今でも、「ブスなんだから」という言葉は、呪いのように私を苦しめることがあるのです。
まとめ
ブスだろうと、人生を楽しく生きていくことはできます。
結婚し、子どもも産まれた今は、そう思えるようになりました。
しかし、他人からブスだと言われて、自分のみにくさを自覚するのは、やっぱりいつも辛かったです。
私は、「ブスの気持ちに寄りそって、救いになれるようなブスになりたいな」と思います。