35歳男性。
現在は、東京都内のIT企業に勤務。
数年前にパニック障害を発症してから、理容室や歯科クリニックに行くと、激しい嘔吐反射をするようになった。
いまでは自宅で妻にバリカンで散髪してもらい、大学病院で点滴麻酔を受けた状態で、歯科治療を受けている。
趣味は、ロードサイクリングと読書と株式投資。
見出し
生きるのは難しいと感じたエピソード1.パニック障害を発症してから、理容室に行けなくなった
私は数年前に、突然、パニック障害を発症。
朝の満員電車のなかで、動悸が激しくなり、胸が苦しくなってきました。
そして、ドアが開かない密閉空間のなかで息苦しさを感じて、途中下車。
自分の症状をインターネットで調べてみると、明らかにパニック障害だと思い、神経内科のクリニックに出向きました。
そして、レキソタンを処方されて、それからは朝・昼・夜と1日3回服用するように。
その結果、脳の神経が沈静化してきたような心持ちになり、安心感を抱きました。
それから、約1年後のできごと。
私は髪の毛は薄くなっていますが、清潔感を保つために、定期的に理容室に通っている私。
理容室では、散髪をする前にシーツで体を覆われて、首の部分で結び目をしめられます。
理容室の店主が、私の首の部分でシーツの結び目をきつくしばった瞬間、私は「オエーッ」と、強い嘔吐感を催したのです。
店主は驚いて「大丈夫ですか?」と私に声をかけますが、シーツの結び目をほどいてくれません。
私がさらに「オエーッ」と強い嘔吐をしてしまい、シーツを汚してしまいました。
私は自分でシートの結び目をほどき「すいません、またきます」と言って店を出たのです。
理容室の店主が「なんだ、あの野郎」と言ったのが聞こえてきましたが、私は逃げるだけで必死でした。
シーツを自分の首に巻きつけられた瞬間、頭のなかが真っ白になるような感覚に。
しかも逃れられない感覚に襲われたのです。
それ以来、私は理容室に行くのが怖くなりました。
しかし、いつまでも理容室に行かないと、少ない髪の毛がぼうぼうに伸びてしまい、みにくくなってしまいます。
私は思い切って、格安料金で10分程度の短い時間で散髪してくれるお店へ行きました。
10分程度なら、我慢できると思ったのです。
しかし、その店でもシーツを身体に覆われて、結び目を首の部分でしめられようとした瞬間に、また症状が発生。
「オエッー」と嘔吐感を催して、すぐに店を出てきてしまったのです。
店員は私の背中に向かって「バーカ」と言っていました。
「もはや自分は、理容室を利用できない」と悟りましたね。
それからは、バリカンを購入し、浴室で妻に散髪してもらっています。
「パニック障害になると、理容室さえ利用できなくなるのか」と思うと、悲しくなりました。
生きるのは難しいと感じたエピソード2.パニック障害を発症してから、歯科クリニックに行けなくなった
もうひとつ、パニック障害を発症したことで、私には難関が立ちはだかりました。
それは歯科クリニックです。
私はパニック障害を発症する前から、歯科治療を受けることについては苦手意識を持っていました。
とくに、奥歯のあたりまで歯科衛生士や歯科医師の指や、器具が入ってくると、息苦しさを感じるのです。
しかし、それでもなんとか根性で我慢ができていました。
ところが、パニック障害を発症してからは、治療中に強い嘔吐感を催してしまうように。
もはや、歯科治療については、恐怖感しか感じられなくなったのです。
あらかじめレキソタンを多めに服用して、副作用で眠い状態になって診療を受けていても、変わりません。
口のなかに器具が入ってくると、すぐに反応してしまい「オエーッ」と強い嘔吐感を催してしまうのです。
私が嘔吐感を催すたびに、担当の歯科医師が椅子を起こしてくれて、私にうがいをさせてくれました。
そして治療を再開するのですが、先生から「我慢してくださいねー」と言われます。
しかし、唾液を吸い出す器具が奥歯のあたりまで入ってくると、再び「オエーッ」と強い嘔吐感を催してしまうのです。
歯科クリニックでは、患者ひとりあたりの治療時間は30分。
ところが、私の場合は何度も嘔吐を催すものですから、1時間30分も時間がかかってしまいます。
途中から、歯科医師も歯科衛生士も「はぁ」とため息をついたり、「これじゃ、どうしようもないな」と言うようになりました。
おまけに、軽蔑する目つきで私をみるのです。
私は何度も嘔吐しながら、「もう、ここにはこれないな」と思いました。
しかし、これから一生歯科クリニックに行かないでいると、いずれ歯周病などの口腔の病気に罹患してしまう心配があります。
私は「麻酔を受けた状態で、歯科治療を受ける方法はないものか」と、インターネットで調べてみました。
すると、見つかったのです。
麻酔をした状態で、歯科治療をしてくれる大学病院が。
しかも、紹介状は不要とホームページには書いてあります。
私はさっそく、この大学病院に通院するようになりました。
いまでは、私は点滴の麻酔を受けて眠った状態にならなければ、歯科治療を受けることはできません。
もはや自分は、この大学病院に通院できる場所でしか生きていくことはできず、「田舎に戻ることは不可能」だと思っています。
「生きていくのが、とても困難になってきている」と感じていますね。
生きるのは難しいと感じたエピソード3.パニック障害が原因で、退職せざるを得ないかもしれない
いまでも私は、毎日レキソタンを服用しています。
しかし、定期的に定められた量では、ストレスに負けてしまうときがあるのです。
とくに大変なのは、大きな仕事を担当しているときや、上司から叱責を受けたあとの日。
電車内でパニック障害の発作がおきないように、処方された量の3倍くらいの量のレキソタンを服用してしまいます。
そうすると、無事に会社にたどり着けるのですが、副作用で重い眠気に襲われるのです。
何度か、私は眠気のあまり千鳥足で、社内を歩き回ってしまったことがありました。
何人かの同僚社員が「あいつ様子が変だな」とか、「おかしいな」などと話していたそうです。
私の上司である経理部長も私のところへきて、「具合が悪いようだけど、大丈夫か?」と尋ねてきました。
大量にレキソタンを服用しても、夕方になると副作用がおさまってきます。
なので、千鳥足ではなくなるのですが、このままレキソタンの服用量が増えるようでは、問題です。
「自分はまともに仕事をこなせなくなってしまう」と、危機感を抱いています。
また、周辺の社員は陰で私のことを「あいつは薬をやっているかもな」などと、噂しあっているようです。
ですので、私はこの会社で生き残れるか、危機感を抱いています。
まとめ
パニック障害を発症していることは、会社の人間には伝えていません。
伝えたら戦力外扱いされたり、障害者扱いをされると危惧しているからです。
「なんとか定年まで生き残りたい」と思って、必死にやっていますね。
しかし、散髪や歯の治療を受けることでさえ困難をきわめるのですから、私が生きていくのは本当に難しいと感じています。