27歳女性。イラストレーター。
音楽関係の専門学校を卒業し、今でも時折、趣味でジャズを歌唱。
イラストの仕事の傍ら、作曲の仕事も並行して受注中。
大の甘党であり、好きな食べ物はチョコレートと生クリームが、たっぷりかかったパンケーキ。
見出し
ブサイクに告白されたときのエピソード1.1つ年上のブサイクな先輩
私が専門学校に通っていたときに、1つ年上のかなりブサイクな先輩がいました。
ブサイクといっても彼は決して卑屈な人間ではなく、夢に向かって前向きに努力する、素敵な人間性を持っている人です。
私は彼のことを先輩として尊敬していて、その分野のアドバイスなどを受けていました。
彼の見た目はお世辞にもいいとはいえず、厚い唇に大きく潰れた鼻、ボッテリとした一重まぶたに、エラの張った骨格。
失礼ながら、初対面では少し驚くほどのブサイク加減です。
しかし、明るくヒョウキンな人間性から、彼は誰からも好かれる性格で、異性同性問わず、友だちも多いタイプでした。
私もよく誘ってもらっていて、友だちと家に遊びに行ったこともありました。
私と先輩は2人とも甘党だったので、2人でパンケーキを食べに行ったこともあります。
はたから見たら、まるでデートみたいに見えるような時間も過ごしていたことがありました。
ですが、私は先輩を恋愛対象としては一度も見たことがなく、2人で会っていても、なにもトキメキは感じなかったのです。
なので、勝手に先輩もそうだと思い込み、まるで近い兄ができたような感覚で、友人付き合いとして楽しんでいました。
ブサイクに告白されたときのエピソード2.先輩からの告白
そんな先輩から突然の告白を受けたのは、私が1年生の秋。
学校の帰りに近くの公園にブラブラと遊びに行って、いつものようにベンチに座って、くだらない話や将来の話などをしていた矢先のできごとです。
急に「好きだ」と言われて私も驚いてしまって、最初はそれが恋愛としての気持ちであるとは気付きませんでした。
「私も先輩のこと好きですよ~」と笑いながら返すと、「そうじゃなくて、付き合いたいってこと!」と言われた私。
はじめてそれが告白であると分かったほどに、私は鈍感だったようです。
正直、かなり戸惑いました。
ですが、その理由はもちろん彼の容姿がブサイクだったからではありません。
単純に、恋愛対象として今まで見ていなかった男性から、急に向けられた感情だったから。
どのように断れば傷付けずにすむか、分からなかったのです。
そのときは、シンプルに「ごめんなさい」と伝えました。
私は実は当時、学校の外に彼氏がいたのです。
それなのに2人でそのように遊んだりして、勘違いさせてしまったことを謝り、できれば今後も仲よくしていきたいことも伝えました。
彼はその場では理解してくれて、揉めることなく別れたのです。
ブサイクに告白されたときのエピソード3.振っても続くアプローチ、そして先輩の劣等感
ですが、私が振ったあとも、先輩からのアプローチはずっと続きました。
デートに誘われたり、メールや電話がかかってきたりと、それは告白される前よりも熱烈なものに。
彼を人間としては好きなので、なるべく応えたかった私。
しかし、自分に向けられている感情が恋愛のそれだと分かっています。
ですので、これ以上期待させて、傷付けてしまうのを恐れて、なるべく断るように心がけていました。
ですが、それは私が気付かぬうちに、「彼のコンプレックスを刺激してしまっていた」と、あとから気付きます。
ある日先輩から「話がある」と言われ、その真剣な雰囲気に気負けして、待ち合わせ場所に行きました。
そこで、先輩に聞かれたのは、思わぬ質問だったのです。
先輩は私に「俺がこの顔だからダメなのか?」と聞きました。
そんなことを夢にも思っていなかった私は真っ向から否定し、なぜそんなことを聞くのか尋ねたのです。
すると先輩が話したのは、いつも明るい彼からは想像できない意外なものでした。
先輩は私に振られたことを周りの友人に話すと、彼らは冗談交じりに「お前の野獣顔じゃ、あの美女は落とせないよ~!」と言ったそう。
たしかに、私は生まれつき美形。
しかし、当たり前ですが、それが先輩を振る理由になっているわけがありません。
彼らに悪気がなかったことは、先輩も分かっているのです。
ですが、「もしかしたら本当に、自分の顔が原因で振られた」と思い悩んでいたのでしょう。
そして「そんなどうにもできない容姿という要因をカバーするためにも、内面的なアプローチの場が欲しくて、しつこくしてしまった」と言いました。
ブサイクに告白されたときのエピソード4.キッパリ断り、その後の関係
私は先輩にそんな理由で振ったわけではないことを伝えました。
そして、改めて、彼にこう伝えたのです。
「人間的な尊敬はしているし、友だちとしてはとても好きだから、今まで通り仲よくしてほしい。顔なんて関係なく、私はあなたのことを大切な友だちだと思っている」と。
それによって先輩は安心してくれたのか、告白前のようなちょうどいい関係に戻ることができました。
彼をよくも悪くも、熱烈なアプローチに駆り立ててしまっていたのは、彼の容姿からくるコンプレックスだったのです。
それからは信頼ある友人として過ごしていて、約10年経ち、私が結婚した今でも、良き理解者の1人。
「一見して、容姿に悩んでいなさそうな明るいブサイクな人でも、実際は人知れずに、劣等感に悩まされていることもある」のだと、身に染みて理解したできごととなりました。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
私たちは恋人関係になることはありませんでしたが、彼の努力家な性格を私は心から尊敬しています。
あのときに先輩が、自分の容姿に関して恥ずかしがらず、恐れずに、正直に聞いてくれたからこそ、今でも気持ちよく付き合えていられているのだと思いますね。