28歳女性。
中小企業で、事務員として働きはじめて、6年が経ちます。
理不尽な環境に見舞われることも多々あるが、人には恵まれ、人間関係に悩むことなく、社会人生活を送っている。
人生ではじめて付き合った男性と、そのまま結婚したり、自分の運の良さに驚きながら、新婚生活を満喫しています。
言葉にすると、とてもリア充っぽいですが、その実、根暗な元バンギャである。
男泣きがかっこいいと感じたエピソード1.降格人事で「ちくしょう」と叫んだ部長
会社の連結子会社化で、それまで会社を支えていた、実質No.2の営業部長が降格に。
しかし、平社員の私から見ても、明らかな嫌がらせ人事で、辞めさせられたことが分かったのです。
社内には、その部長を慕う古くからのメンバーが多く、親会社から派遣された若い部長に、不信感が否めなかったですね。
降格人事が発表された日のこと。
営業部や支店の営業社員が、次々と先行きの不安を相談しに、部長のもとへ訪れ、連日飲み会が続きました。
派遣された役員の意向で、閉鎖へ追い込まれた店舗もあり、そこの営業社員へ、悪いわけでもない部長が謝るのです。
「それでもまだうちで働いてくれるか?」「どこまでなら通ってこれるんだ? 必ず場所は用意するから、辛抱してくれ」と。
そのようにフォローしていたことが余計に、親会社からきた新参の部長へ、憤りと理不尽さを募らせたようですね。
「お前たちの能力が欲しいから、うちは買われたんだ。お前たちに価値があるんだから!」
部長が一番理不尽な目にあっているのに、連日の飲み会でうなだれる営業社員を励まし続けます。
ときには、閉鎖拠点の営業さんと、男同士泣きながら、抱き合う場面もありました。
「働くといってくれるなら、必ず守るから!」と、一目もはばからず、叫んでいたときもありましたね。
そんなときでも、私はこのようにしか思っていませんでした。
「いい部長さんのもとで働けているな」、「理不尽な環境だけど、人には恵まれているなぁ」と。
部長の涙をより重く感じたのは、部長の奥さまとお話したときです。
もともと、子どもがいないからか、子ども世代の私は、部長のみならず、奥さまにも可愛がってもらっていました。
なので、部長ご夫婦と、私と、もう一人の事務員さんとで、飲み会をしたのです。
その際、部長がいなくなったときに、奥さんがこぼした一言に、衝撃をうけることになります。
「この間、『酔っ払って帰ってきた』と思ったら、玄関先で「ちくしょう! ちくしょう!」って、叫びながら泣いてるから、びっくりしちゃってさぁ」
「私、『部が変わった』とは聞いてたけど、そんな詳しくは知らないからさ。ふたりにも迷惑かけてたら、ごめんねぇ」
そんなふうに、あっけらかんと言われて、こちらがびっくりしてしまいましたね。
自分のことそっちのけで、営業さんを励ましていた部長。
まさか、そこまで落ち込んでいるとは思っていませんでした。
しかし、考えてみれば、会社を大きくしてきた人が、一線から外されたわけです。
「当然、屈辱だったのだろう」と、少し考えれば、容易なことでした。
「守る力がもうない! だけど守りたい、守らなきゃならん! なのに力がない。ちくしょう!」
部長は表に見せずに、ひたすら心のなかで、自分を責めながら、悔し泣きをしていたのです。
そう思うと、情けないとは思えませんでした。
そこまで思ってくれる部長の心意気と本気さに、私は不覚にも、惨めなはずのその話が、人として「とてもかっこいい」と思いました。
男泣きがかっこいいと感じたエピソード2.妊娠の不安に、一年の禁欲生活を約束した彼
私が社会人1年目のときに、付き合っていた彼は大学1年生でした。
まだ働きはじめたばかりで、子どもが欲しくなかった私。
ネットで見た、「避妊してても、子どもはできる」なんて言葉に怯えてしまうほど、まだまだ小娘だったのです。
「将来的には結婚して、子どもも生みたいけど、今はまだ欲しくない」
そう思っていたし、彼も学生だったので、望んでなかったでしょうね。
おたがいはじめての相手で、勝手もわからず、さぐりさぐり関係を深めていった私たち。
ある日、ことが終って、しばらくそのままでいたら、彼が「感じがおかしい」と、言い出しました。
すぐに、破れてないかどうか、確認を行います。
その結果、「とりあえずは大丈夫だろう」という結論になりましたが、どこか不安は拭えなかったです。
結果として、妊娠もしなかったし、どうということはありませんでした。
ですが、私は不安で、しょうがなかったのです。
「このくらい大丈夫」と思えるほどの経験がなく、子どもの中絶方法なんてものを調べては、不安が増す毎日。
中絶方法とリスクを見て、「子どもを望む身の私には、とてもできない」と思いました。
後日、ちゃんと月のものが訪れ、彼ともほっとしたときに、改めて不安だったことを話します。
「とても不安で、だけどおろすなんて、私には絶対無理だ」と。
また、中絶方法とリスクまで、彼に話したのです。
あとから思えば、「大学一年生には、脅しと変わらない話だっただろう」と思います。
しかし、私が泣きながら話す間、なんと彼は、私を抱きしめながら、一緒に泣いてくれていたのです。
なんで彼が泣いてるのか、まったく分かりませんでしたが、「不安にさせてごめん」と言ってくれた彼。
そんな彼の異変に気づいたのは、それから半年後ことです。
彼が私に、まったく手を出してこなくなりました。
気づいてから、しばらくは様子を見ていましたが、ある日、勇気を出して尋ねてみたのです。
すると、彼はこう答えました。
「あの日から不安やリスクを聞いて考えたんだけど。負担を無視して、するのが嫌になって……」
「君の不安がなくなって、『いいよ』って言ってもらえるまで、そういうのはなしにしようと思った」
彼の返答は、現代の恋愛観に比べて、とても古風で、誠実なものに私は感じました。
私が「したくない」と言ったわけではないのに、「自ずとそう決断してくれたのか」と思うと、ありがたさが募りましたね。
そして、あのときの彼が流した涙が、「軟弱で、男気のなさからくるもの」と、思っていた自分を反省。
「彼は私を本当に大切にしてくれて、大事に思ってくれていたからこその、やさしい涙だったんだ」
そう思ったら、時間差で、「かっこいいな」と、惚れ直してしまいました。
まとめ
男泣きに「かっこいい」と思ったエピソードを、これまでご紹介してきましたが、いかがだったでしょう?
「普段、一生懸命な男性が流す涙ほど、かっこいいものはない」と、私は思います。
そんな男性を伴侶に持つ女性は、きっと幸せになれるはずです。