35歳男性。栃木県出身。
栃木県の中学校教諭を経て、現在は東京都内のIT企業に勤務。
中学校の教諭時代、公務員の立場を利用して、入院している父親の病室を大部屋から、個室へ移させたことがあります。
また、中学校への出入り業者から、多くのお中元とお歳暮を受け取っていました。
趣味は、ロードサイクリングと読書と株式投資。
見出し
田舎で公務員をやっていてよかったこと
田舎で公務員をやっていてよかったこと1.お中元とお歳暮を大量にもらえた
私は栃木県の人口5万人程度の町で、公立中学校の教諭をしていました。
中学校の教諭というのは、クラスの担任をして、生徒たちに勉強を教えることだけが仕事ではありません。
たとえば、部活動の顧問も担当しますし、遠足や修学旅行の担当もやります。
私が教諭をしていたときは、ほぼ毎年のように、秋の遠足や修学旅行の企画運営の担当をやらされました。
そのため、旅行会社の担当者とは、毎年顔を合わせています。
その際、「一緒にどの寺社仏閣をまわらせる」とか、「どのホテルに宿泊するか」などを決めているのです。
私たちは全員公務員でもありますから、民間企業の発想を持っていません。
このため複数の旅行会社から見積もりをとって、安い旅行会社に発注することはないのです。
随意契約で同じ旅行会社に、遠足や修学旅行を発注していました。
私がこの中学校に赴任する前から、ずっと同じ旅行会社です。
そして、私が教諭として赴任して、3年目にはじめて遠足を担当したときのこと。
私の自宅には旅行会社から、毎年お中元とお歳暮が送られてくるようになりました。
取引先の旅行会社だけではありません。
どこから聞きつけたのか、取引先のライバル会社からも、お中元とお歳暮が私の自宅に送られてくるようになったのです。
私は心配になり、取引のない旅行会社に電話。
すると、「ほんの気持ちですから、お気になさらないでください」と言います。
そして「近いうちに、ご挨拶に伺わせてください」と言って、電話を切ってしまったのです。
ほかにもあります。
部活動の顧問もしていた私。
スポーツ用品店から必要な道具を一括購入して、それを実費で生徒に購入させていました。
そのため、スポーツ用品店からも、毎年お中元とお歳暮が送られてくるように。
さらには、中学校では設備の修繕が随時必要となります。
たとえば、あちこちのトイレで生徒が紙などを詰まらせるなどすれば、すぐに水道関係の業者を呼ばなければなりません。
また、生徒が悪さをして、窓ガラスを割ってしまうこともありますので、工務店の業者を呼ぶこともあります。
授業のために大量のプリントを印刷しますので、コピー用紙を調達するために文房具業者との付き合いも。
教諭をやってみて、意外と膨大な業者と取引をするので、自分でも驚きました。
そして一度接点を持つと、彼らからはお中元とお歳暮が必ず送られてくるようになったのです。
「民間業者にとっては、中学校というのは、おいしい取引先なのだな」と感じました。
ただし、毎年お中元やお歳暮を10個くらいもらえることになり、調味料などは買う必要がなり、助かったのも事実です。
田舎で公務員をやっていてこと2.父親が病院の大部屋に入院したが、個室へ移ることができた
私の父親が、胃の病気を患い、10日間ほど近隣にある病院に入院したことがありました。
自宅で吐血してしまい、慌てて母親が救急車を呼んで、病院に搬送されたのです。
父親は、ベッドが空いていた4人用の大部屋に入れられて、さっそく精密検査を受けました。
すると、胃潰瘍との診断結果が。
医者から、「安静にする必要がある」と言われ、10日間ほど入院することに。
重病ではないことに気をよくしたのか、入院2日目に父親は「落ち着かない」とか、「夜、眠れない」と不満を言いはじめました。
さらに、「大部屋から個室へ移りたい」と言うのです。
私は看護師に、個室は開いていないか、尋ねてみたのですが、「すでに満室」とのこと。
私は「なんとかしてやりたい」と思い、地元自治体の町役場へ出向きました。
町役場の別棟の建物に、公務員共済組合の事務室があり、事務長に相談。
「父親が〇〇病院に入院したのですが、本人が『個室に移りたい』と言っています。なんとかなりませんか」と。
すると、事務長は「わかった。俺に任せろ」と、二つ返事で引き受けてくれました。
その場で父親が入院している病院に電話をしてくれた事務長。
「〇〇中学校の教師の親父さんが入院してるらしいけどさ、個室に移りたいらしいんだよ。空けてやってくれないか?」と頼んでくれたのです。
そして、事務長は私に「土曜日に空けてくれるらしいから、大丈夫だ」と言ってくれました。
実は父親が入院した病院は、公務員共済組合が経営している病院だったのです。
まさに公務員としての特権を行使して、個室に移ることができたできごとでした。
田舎で公務員をやっていてよくなかったこと
田舎で公務員をやっていてよくなかったこと1.プライバシーの侵害がはなはだしい
田舎で公務員をやっているとデメリットもあります。
それは、プライバシーがないことです。
田舎には娯楽というものがありませんから、田舎の人間同士の会話の大半は、他人のプライバシーに関するもの。
とくに、なにかと公務員は話題にのぼります。
ひどい場合には、私の自宅をわざわざ見にくる人もいるのです。
車で私の自宅前にやってくると、わざとスピードをかなり減速。
「ほら、この家が〇〇先生の家だよ!」と、母親らしき大人の声が聞こえてくることがありました。
また、「へえー、そんなに立派な家じゃねえんだな」などと、ふざけたことを大きな声で言う人もいます。
しかし、私は黙ってやり過ごしました。
うっかり顔を出してしまうと、30分から1時間も、話し相手をしなければいけません。
それに、怒った態度で抗議をしようものなら、「〇〇先生が怒っちゃたんだよー」と噂が流れてしまいます。
そして、プライバシーがないという点では、こんなこともありました。
スーパーなどで買い物をしているところを地元住民に見られます。
すると、「よう! 〇〇さん」と声をかけられるのです。
しかし、これはまだマシなほう。
ひどいときは「あっ、〇〇先生が豚肉買うんかい? 牛肉は食べないの?」などと、大きな声で声をかけられてしまうこともあるのです。
田舎の人というのは遠慮がありません。
なので、外出するときは冷静な表情を崩さずに、常に周囲の人間に地元住民がいないか、気を配っていました。
まとめ
田舎で公務員をしていると、「特権的地位」があると感じたことが何回かありました。
田舎には発達した産業がありませんから、民間事業者から見れば、税金で運営されている学校は大きな収益源です。
このため彼らは、公務員に積極的に近づいてきます。
そして私も、合法の範囲で彼らの好意を受け止めていたのです。