23歳女性。
17歳の頃、やっていた生放送(ニコニコ生放送)で知り合った、顔のきもい男との話。
写真を見る前に付き合う話をして、顔がきもい事をあとから知る。
もちろんイケメンは好きだが、好きな人とはあまり目を合わせられない性格だからか、顔はあまり気にならない。
見出し
顔がきもい男を好きになったエピソード1.出会いはネット
私が好きになった顔がきもい男は、私にとって、はじめての恋人となる人でした。
彼にとっても同じように、私がはじめての恋人。
当時、私は17歳、彼は21歳。
高校生と大学生で、しかも私は関東、彼は関西の遠距離恋愛。
その出会いはネットでした。
出会い系というわけではなく、ツイキャスとかショールームとか、そういう一般人が生放送をできるサイト。
私が放送主、彼がリスナーでした。
はじめての放送で、戸惑いながら放送をする私に、彼がコメントで優しく教えてくれたのです。
これは曖昧で、想い出フィルターがかかっているかもしれませんが、はじめてコメントしてくれたのも、彼だったような気がします。
放送に慣れてきたころ、放送のなかで、Skypeのアカウントを教え合いました。
もちろん彼だけではなく、ほかにも2、3人、そのときにいたリスナーさんとも交換。
それから毎日のようにSkypeで電話をするようになりました。
学校から帰って、真っ先にパソコンをつける私。
彼がログインすると表示される、「○○がログインしました」という通知を見ると、うれしくなるのです。
すぐに声をかけたく思うけど、なんだか待っていたみたいで嫌だから、10分くらい放置をしたあとに、やっと話かけます。
顔がきもい男を好きになったエピソード2.付き合うつもりはなかった
三か月ほどでしょうか。
毎日、夜から朝まで、たまに寝落ちをしながら、通話をしていました。
そのため学校の友だちにも、彼の事をたくさん話して、友だちにも、彼の名前が浸透するように。
そんな頃、彼との通話で「おたがいに恋人がいない」という話になりました。
私は冗談で、「じゃあ、付き合っちゃう?」と言いました。
すると彼も「いいねえ!」と乗っかってきたので、「明日友だちに自慢しよう!」と言い合う二人。
しかし、私たちはまだおたがいに、顔も見たことがないのです。
次の日の朝、学校についたらすぐに友だちに「彼氏ができました!」と言って回りました。
その日の話題は、それで持ち切り。
皆面白い話のネタだと分かっていたのですが、とある一人のクラスメイトが言ったのです。
「それって本気で付き合ってるんじゃないよね?」
それを言われた途端、なぜか急に冷静になってしまいました。
「うん、冗談だよ」と、とっさに否定ができなかったのです。
冗談だと思って、言ったはずの私。
ですが、いつまでもこの冗談が続くような、それは本気であって欲しいような感情がありました。
その日。
いつものように通話をつないで、ゆっくりとこう聞いたのです。
「この話は冗談だよね?」
すると彼は、「君がそう思うなら。俺は本気でも嬉しいよ」と言いました。
顔がきもい男を好きになったエピソード3.周りへの不安
はじめて異性から告白された私は、嬉しい気持ちもありました。
しかし、それ以上に、不安が強く、私を責めたのです。
なんせ出会いはネット。
「おたがい顔も知らない。本名も、家も知らない。そして、自分自身の自信のなさ。こんな私でいいんだろうか」
「私は彼の事をどう思っているのだろうか? 好き? 嫌い? 彼と付き合ったら、周りの皆はどう思うんだろう」
どうしたらいいか分からなくて、冗談だと笑い飛ばせなくなっている自分にビックリ。
気が付くと、涙が止まらなくなってしまいました。
彼はそんな私に謝りはじめたのです。
「困らせてごめんね。忘れてくれていいよ」
優しさにまた涙が溢れました。
あまりにも自分の気持ちがまとまらなくて、その日はそれで通話をきることに。
その次の日は、授業もろくに聞かずに、彼との事だけを考えていました。
「彼の事を好きになったら、遠距離恋愛になるなぁ」
「彼の顔がもし気持ち悪かったら、今までと同じように接することができるだろうか」
「そんな彼を、皆に紹介できるだろうか」
「本当の私を知られたら、彼は私の事を嫌いになってしまうんじゃないだろうか」
そうして、いろいろ考えて、たどり着いた結論は「今彼を失いたくない」という事でした。
「とりあえず付き合ってみて、それから考えてもいいんじゃないか」と、決心したのです。
帰って、通話をつないで、「こんな私でよかったら」と言いました。
顔がきもい男を好きになったエピソード4.ネタになる
付き合う事になって、勇気を出して、「おたがいの顔写真を送り合おう」と提案。
私自身、自分にそんなに自信がなかったので、とても緊張しながら、おたがいに自分がよく見える写真を必死で探しました。
そして、はじめて見た彼の写真。
なんとも言えない顔でした。
「あ、ほんとに、普通にブサイクだな」って思いましたね。
でもそれに嫌悪は抱かず、親しみやすかったのかバカにしたのか、私はだんだん笑えてきたのです。
笑っている私に彼はちょっと不機嫌に、「お前だって、そんなに可愛くないからな!」って言いました。
この言葉は、友だちから、とても非難を受けることに……。
「彼女に可愛くないって言うなんて!」と。
そして彼の写真を見て、「この顔で言ってくるの!? あり得ないわ!」と言います。
彼は一重で目が細くて、唇が分厚くて、とても頬骨の目立つ顔をしていました。
友だちはその骨格を指さしながら、「カマキリ」というあだ名をつけたのです。
恋人がそんな事言われて、黙っているわけにもいかないのですが、「確かに似ている」と思いましたね。
「すごくいいたとえだな」と、思ったくらいです。
それでも嫌いにはなりませんでした。
むしろ、「顔だけで笑ってもらえるなんて、幸せだね」と思ったのです。
自分につけられたあだ名を聞いて、「うるさいわ!」と軽くツッコミをいれる彼。
ですが、普通に怒っていたので、申し訳ない気持ちになりました。
顔がきもい男を好きになったエピソード5.嫌だったこと
なによりも、友人に紹介するたびに「こんな人と付き合ってるの!?」「ブサイクじゃん!」と言われる事が嫌でした。
「そうだよ。ブサイクだよ。だけど、好きなんだ」
と言えずに、話のネタとして、友だちと一緒に盛りあがって、彼の顔について悪口を言い合っていた私。
親に紹介したときも、受け入れてもらえなかったです。
「もっとカッコイイ人連れてきなよ」と、母親に言われたときはさすがに辛くて、なにも言えずじまいでした。
二人でプリクラを撮るときも、機械の魔法をもってしても、彼の顔は変わらず、よくなりません。
それでも、彼の顔をいつでも見れるように、私の顔をいつでも見れるようにと、おたがいに一人ずつのプリクラを一枚ずつ撮って、記念にしたのです。
顔がきもい男を好きになったエピソード6.よかったこと
恋人がブサイクな事による一番のメリットは、「浮気をしなさそう」という事だと思います。
彼はネット社会に生きる、コミュニケーション能力も高くない人種でした。
それに、顔もブサイクだったので、「変な虫はつかないだろうな」と安心したものです。
無駄なコミュニティはつくらず、ごく限られた親しい友人が3、4人。
なかには「恋人ができた」と紹介する彼のために、嬉し泣きの涙をこぼす友人もいました。
イケメンの、女遊びの激しそうな人の友人だとおそらく、こんなことを言うと思います。
「前の彼女は……」「女の趣味変わった?」など。
そんな話は一切なく、本当の祝福に包まれたような、そんな暖かい感覚であふれていました。
まとめ
総評的に、顔のきもい男はそれほどに気にならないと、私は思います。
友人に紹介したいために、イケメンの彼氏をつくるのは自分らしくありません。
おそらく若いうちだけだし、大人になったとき、周りの目は見た目よりも、ほかのところに向きます。
私は結局、その彼とは別れてしまいましたが、別れて7年ほど経つ今でも、ときどき思い返したりするのです。
きちんと自分の意見を持ち、あなたを大切に愛してくれる恋人を見つけてください。