いとこを恋愛感情で好きになった3つの理由、そのあとしたこと1つ

兄弟で遊んでいる風景

32歳女性。元・調理師。昔の恋物語を思い出しては毎日日本酒を浴びるように飲む。絵がうまい事からたまにイラストレーターの仕事もこなす。
拭いきれない過去と闘いながら今日も夜な夜な一人酒。素敵な未来を夢見て奮闘中。

 

 

いとこを好きになった理由1.自分を優先してくれた

スケジュール

 

いとこが家に泊まりにくる、または、いとこの家に泊まりにいく。

なんてことはどこの家でもきっとあると思いますが、私の家は少し特殊で両親が共働きのうえに毎日帰りが遅く、近所に住んでいた叔母さんの家に小さいころから預けられていました。

 

一週間のうちの半分以上は、いとこの家で寝泊りをしていました。

小さいころからそれが当たり前で、一人っ子の私は3歳年上のいとことは兄妹のように育ってきました。

いつも優しくてなんでもしてくれる彼のことは昔から大好きでした。

 

中学生になったころ、高校生になった彼が自分の家に彼女を連れてきたことがありました。

そのときはなんとも思わなかったのですが、しだいに自分と彼女とを比べるようになっていました。

彼が彼女に見せる表情とか、言葉が私に向けられるものとはぜんぜん違っていることに不満を感じるようになっていたのです。

 

その反面、自分は彼と一緒に夕飯を食べ、ときには一緒に眠る、そんないとこであるから成立する距離に優越感を感じていました。

ある日学校からの帰り道、もうだいぶ日も暮れはじめていたので、急いで帰ろうと足早に歩いていると、公園のベンチに彼と彼女の姿。

デート中なんだろうなとチクチクと胸が痛んだものの、素通りして帰ろうとすると、彼が私に気付いたのか声をかけてきました。

 

なにかと思えば、帰りが遅くないかとかお説教でした。

「うるさいな」と思っていると、彼が彼女の元へ行き、なにか話をしたあと、彼女に手を振り彼はこちらに戻ってきました。

そして私の手を引き、「帰ろう」と言いました。

 

「彼女とのデートはいいの?」と聞くと返事はなかったけれど、そのときの彼の横顔に心臓がはねたのは忘れもしません。

 

いとこを好きになった理由2.共通点が多い

大量の漫画

 

誰でも共通点が多い異性と出会うと、みょうにひかれてしまうことはあると思います。

私は典型的なそれで、彼と私とは共通点が多々ありました。

魚が苦手で、食事のときには二人して叔母さんに怒られながら食べたり、お互いの皿に入れあったりしていました。

 

漫画が大好きで、好みの漫画も同じ。

二人で部屋にいると無言で漫画を読んでいるのに居心地がよくて、ときには漫画の内容を熱く語り合ったりしました。

「彼女に話しても分からない話を、私は分かってくれるから楽しい」と言ってくれてとてもうれしかったことを覚えています。

 

 

いとこを好きになった理由3.ギャップの激しさ

ジョギングの風景

 

彼の見た目は眼鏡をかけていて真面目そうな印象で、身長は高いけれど、体は細くヒョロヒョロ。

そう思っていたんですが、ある日、漫画を借りようと彼の部屋にいつも通りノックもせずに入ると、なんと彼は着替え中でした。

幸いなことに上半身だけが裸だったのですが。

 

「ごめんごめん」と言いながら、まじまじと彼の上半身を見てしまいました。

意外にも胸板は厚く、がっちりとしていて、腕も筋肉質でキレイな腕だったのです。

 

思わず赤面する私につられて赤面する彼。

恥ずかしい気持ちと、またちがう彼を見てドキドキする気持ちと私の心はパンパンになりました。

 

いとこを好きになって、そのあとしたこと1.言えない言わない

いえない女性

 

小さいころから、たくさんの時間をすごしてきた彼と私ですが、彼は高校を卒業すると同時に就職。

地元を離れて一人暮らしをはじめました。

 

私はずっと好きだったことを、彼が地元から去る前に伝えようと二人で送別会をしようと私の家に呼びました。

ご飯を食べて、お菓子を食べながら、今まであったいろんな話をしました。

彼も楽しそうにいろんな話をしてくれました。

 

思えば、思春期のころは私の存在がわずらわしいと思ったこともあるはずなのに、彼はそんな一面も一切見せることはなく、私の前では昔から変わらないままの彼でいてくれました。

どんなときも優しいいとこでいてくれた。

そんなことを考えていたら、彼に自分の想いをぶつけることが、「彼の今までの私への優しさを、過ごしてきた日々を、踏みにじる行為なのではないか」という気持ちが込みあげてきたのです。

 

楽しそうに笑う彼、「離れてもまた遊びにこいよ」と言ってくれる。

そんな彼に私は「好き」なんて言葉を言えるわけありませんでした。

ましてや、「いとこ同士で薄くても血の繋がりがある私と彼が結ばれるなんてありえないんだ」と自分に言い聞かせ、今にも流れそうな涙をこらえ、彼を見送りました。

 

あれからもう何年もたち、彼も私もお互いに既婚者となりました。

最近は親戚の集まりで顔を合わせるくらいですが、会えばやっぱり彼と過ごした日々を思い出します。

 

せめて私のことをどう思っていたかとか、思い出話としてできればいいのですが、聞くのが怖いなんて感情が今でもあることに自分でも驚いています。

彼のとなりで笑うお嫁さんに、私はなりたかったのにな、と彼と奥さんを見るとたまに思います。

 

結局のところ、言わないままの失恋で幕を閉じた私の恋ですが、彼のあとにも好きな人はできました。

けれど、いつまでもあのときの思い出が残ってチクリとたまに痛み出すのは、「彼に想いを伝えるのをやめたから?」と思っています。

 

でも実際はそうではなく、結果はきっと同じで、そう決まっていたのだと思います。

だからこそ、好きになってよかったと思います。