29歳小売店販売員。
自営業を営む父方の実家での、二世帯同居を体験。
祖母が実母を毛嫌いし、陰湿な嫌がらせを繰り返している様子を見ながら、思春期を過ごす。
祖母の嫌がらせに耐え切れなくなった実母は、子どもの成人を待って離婚。
今は実母と弟の3人で、都内のマンションに暮らしている。
見出し
祖母を嫌いになったエピソード1.子どもじみて陰湿な嫌がらせをする
私の家族は、自営業を営む父方の実家で、二世帯同居をしていました。
祖母と母の仲は最初から上手くいっておらず、家の仲はいつもぴりぴりとした雰囲気で、子ども心に居心地の悪さを感じていたものです。
父や祖父、2つ下の弟は気付きませんでしたが、同性である私の目には祖母の行う嫌がらせが目につく日々。
そのため、何度も不愉快な思いをしました。
学校に通っていると、「同級生の女子同士でいじめや、いやがらせをする、される」といった場面を目にすることがありますよね。
女子同士の嫌がらせは、男性の目には一見なんでもないふうに映ってしまいます。
ですが、された本人はとてもストレスを感じ、辛く陰湿なものばかり。
祖母の行う嫌がらせは、まさに学校でクラスメートがしているような陰湿で、子どもっぽいものばかりでした。
そのなかでも、とくに祖母を嫌いになった行為は「ほかの人には分からないように、無視する」という嫌がらせです。
朝、居間に入るときにはそれぞれ「おはよう」と声をかけあいます。
一番早く起きて、朝食の準備をしている母は、入ってくる人には絶対に声をかけるのですが、祖母は絶対にその挨拶に答えません。
母が「おはよう」というと、それを完全に無視して、すでに今にいる父や私などほかの家族に挨拶するのです。
一見、きっちり挨拶しているように見えるので、男たちはなにも感じず、その挨拶に返事を返します。
学校で、同じような嫌がらせを受けたことがある私。
教室で声をかけても、絶対に答えてくれず、ほかの子に挨拶をする同級生がいたのです。
周りの人が気付かないからこそ、その無視という行為はとてもストレスがたまるもの。
それだけのことなのに、「学校に行きたくない」という気持ちによくなったものです。
そんな、人をこそこそと追い詰める嫌がらせを、毎朝欠かさず行っている祖母を見て、私はとても悲しく、「母親がかわいそうだ」と感じていました。
祖母を嫌いになったエピソード2.母の悪口を言うときだけおばあちゃん顔をする
祖母は、自分の家族は夫である祖父と、息子である父親だけだと、思っていたのかもしれません。
母のことを毛嫌いしていたのは最初からでしたが、私と弟に対しても、とくに愛情を注いでいるような様子はありませんでした。
「子どものころは、おばあちゃんに可愛がってもらった」という同級生の話を聞くことがあります。
しかし、そのたびに「なぜ、うちのおばあちゃんは私や弟に優しくしてくれないのだろう」と、寂しく感じていましたね。
そんな祖母が、私や弟にすりよってくるときがありました。
それは、母の不満や愚痴を言いにくるときです。
私も弟も反抗期に差しかかると、意味もなく両親に反抗して、口答えをするようになっていました。
私たちが父に反抗したときは、とても激しく怒る祖母。
それに対し、母に反抗したときは、まったく違う態度を見せるようになったのです。
私たちが母に反抗したとき、祖母はそのときはなにも言わず、静かにしていました。
しかし、私が部屋に閉じこもっていると、なに食わぬ顔をして訪ねてきて、「あれはお母さんが悪いと思うわ」などと、まるで私の味方のようなことを言うのです。
私がもう少し子どもだったら、かばってくれる祖母を好きになっていたかもしれません。
しかし、そのころはもう、祖母の陰湿さや母親との確執に気づいていたので、そんなごまをするような祖母の態度は、とても汚らわしく感じました。
大人になって弟と話す機会があり、そのときの話もしたことがあります。
弟もそんな祖母の計算に気づいていたらしいのです。
しかし、やはり「かばってくれる祖母に優しく接してしまっていたころがあった」と言います。
家族全員を母の敵にしようと、好きでもない私たちに媚びを売るような真似は、とても不快な物でした。
祖母を嫌いになったエピソード3.男家族を味方につけて被害者のように振る舞う
私たちが子どものころは、母もおとなしく祖母のいうことを聞いて、嫌がらせにも耐えていたそうです。
しかし、そんな母にも我慢の限界がきたのか、私が中学を卒業するあたりから、祖母に言い返したり、喧嘩したりすることが多くなってきました。
今まで嫌がらせをしても、反応がなかった母からの反撃に、焦った祖母。
それまで家の状況に気づこうとしなかった、父や祖父を味方に付けようとしたのです。
祖母は台所など、男家族の目につかないところに行っては、母に食事の味についてや掃除、自営業のことで、ぐちぐちと文句を言うのが好きな人でした。
そして、母が我慢できず言い返すと、途端に弱腰になって、父や祖父のところに逃げていくのです。
私も何度か、その場面を目撃したことがあります。
まるで役者のように、鬼のような形相が弱気な老人の顔に変わる瞬間は、恐怖心さえいだくほどでした。
母が怒ると決まって祖母は、父や祖父に対し、「お嫁さんを怒らせてしまった自分がいけない」といった内容で、泣き言を言いに行きます。
すると、その前に母が祖母に嫌がらせを受けていたことを知らない2人は、「年寄りに優しくしてくれ」と、母をいさめてしまうのです。
そんな2人に対し、祖母は「私が悪いんだから、お嫁さんお怒らないで」と、まるで母をかばうかのようなことを言う祖母。
その結果、母は完全に悪者扱いされてしまっていました。
男の心理を操り、自分はけして悪者にならないように立ち振る舞う、祖母の姿が記憶に染みついています。
そのせいで、私はいまだに男性に態度を変える女性と、上手く付き合うことができません。
まとめ
どんな家庭でも、嫁と姑の不仲や問題はあるでしょう。
しかし、祖母は姑の陰湿で姑息な部分を、ぎゅっと濃縮して固めたような女性でした。
その後、母は弟の成人を待って父と離婚。
最後まで祖母の味方だった父とは、もう連絡も取っていません。
祖母から解放され、のびのびと生きる母を見ると、「これでよかったんだな」と感じています。