振り返ってみると、今までで、男の人からもらった手紙は、このときだけでした。
そのときもらった手紙が、どこにあるのか、今も分からないままです。
主人にすら、手紙をもらったことがない私。
「そのときの手紙を大事にとっておけば、良かったかな」と、少し後悔している42歳の主婦です。
バイト中に手紙を渡されたエピソード1.バイト中話すようになる
コンビニでバイトしていたときのこと。
いつも、お昼にお弁当を買いにくる、20代後半くらいの方がいました。
コンビニの近くに職場があるらしく、お弁当と飲み物をほぼ毎日、同じ時間に買いにきていたのです。
最初は、「いらっしゃいませ」と「ありがとうございました」以外、まったく会話もありませんでした。
しかし、いつも同じお弁当ばかり買われていたので、ある日、私はこうたずねたのです。
「いつも、同じお弁当ばかり買われていますよね、これ美味しいですか?」と。
すると、「これ、すごくうまいから、毎日食べてても、飽きないよ」と言われました。
それがきっかけとなって、毎日会話するように。
そして、建設関係の仕事で、隣の県から、2週間ほど仕事にきていて、現場がコンビニのすぐ近くということを聞きました。
毎日、顔を合わせるので、自然に私のほうも「今日も頑張ってくださいね」と言うように。
そのうち、年齢も聞かれましたが、嫌な感じもしなかった私。
話のなかで、自然に聞いてきたので、私も答えました。
そのとき、その方の年齢も聞いたのです。
はっきりとは覚えていませんが、おそらく27~28歳くらいだったと思います。
小柄で童顔な顔つき、話しやすい感じの方でした。
コンビニの仕事をしていると、いいお客さんばかりではないことに気づきます。
品物を渡すとき、奪い取るように荒く取るお客さんや、お金を渡すとき、手が触れないように受け取るお客さん。
また、「いつもありがとう」と、お礼を言ってくれる方など、さまざまな方がいました。
そのなかでも、その建設関係のお仕事の方は、品物も丁寧に受け取ってくれます。
それに、話し方も優しく、私のなかでは印象もいいお客さんでした。
私が働いていたコンビニには、レジが2つあります。
しかし、私のほうにお客さんがたくさん並んでいても、彼は必ず私のほうに並ぶのです。
そのため、一緒にバイトしている女の先輩から、冷やかされていました。
「あの人、いつもあなたのレジに並ぶよね、好きなんじゃない?」と。
私は、そのことを言われても「まさか」と思っていたので、その人のことも意識することなく、いつも通り接していたのです。
バイト中に手紙を渡されたエピソード2.手紙を渡される
そうしてるうちに、建設関係のお仕事のお客さんから、「あと2~3日で現場が終わる」という話を聞きました。
私は、何気なく、「寂しくなりますね」と言ったのです。
今、思うと「その言葉が、思わせぶりな態度をとってしまったのかな」と思います。
次の日のお昼に、いつものように、その建設関係の方がお弁当を買いにきました。
そして、レジでお金を受け取り、「ありがとうございました、今日も頑張ってくださいね」と言ったときのこと。
そっと、手紙のような物を渡されたのです。
私は、一瞬なにを渡されたか分からず、キョトンとしていました。
お昼は、お弁当を買いにこられるお客さんで混雑しています。
なので、もらった手紙をそのままポケットにしまい、仕事を続けたのです。
そして、休憩時間になったときに、さっきもらった手紙を見てみると……。
建設関係の方の名前と、携帯番号が書かれてあり、一言「電話ください」と書かれてありました。
私は、それを見た瞬間、顔が赤くなってしまいましたね。
正直、このときはまだ、男の人と付き合ったことがなかったので、どうしたらいいか分からなかったのです。
そして、次の日、いつもお昼にくる、その方がきません。
「どうしたのかな」と思いながら、どこかホッとしている自分がいました。
すると、いつもはこない夕方に、その方がお店にきたのです。
私は、思わず、レジの裏に隠れました。
そして、その時間に一緒に入っていたバイトの女の子に、「お願い、レジに出て」と言って、レジに出てもらうことに。
すると、その方は、私を探すように、キョロキョロしていました。
私は、レジ裏の防犯カメラで、その方の様子を観察。
「声をかけられたらどうしよう」と思いましたが、商品を買って手渡されると、お店から出ていきました。
私は、その方の姿が見えなくなるとホッとして、バイトの娘に「ごめんね」と言い、事情を説明。
バイトの娘も、なんとなく分かっていたみたいで……。
「◯さんのことを探している感じだったよ、もしかして、今日が最後の日だったんじゃない?亅と言われました。
最後の日と思ったら、「隠れずに、やっぱりきちんと、挨拶すれば良かった」と思った私。
ですが、男の人に手紙を渡されたのがはじめてで、どうしていいのか、本当に分からなかったのです。
家でもらった手紙を読み返して、何度か「電話をかけてみよう」と思いました。
携帯番号の番号を押して、電話をかけようと何度もしましたが……。
やはり恥ずかしくて、電話をかける勇気が出ず、電話をかけることはなかったのです。
まとめ
それから、その建設関係の方は、現場のお仕事が終わったようで、お店にくることはありませんでした。
今思い出すと、こう思いますね。
「手紙をもらって顔が赤くなったり、どう対応していいか分からないなんて、本当に若かったなぁ」と。
そのとき、「勇気を振り絞って返事していたら、どうなっていたのかな」と、思ったりもしました。
ですが、今となってはいい思い出です。