33歳男性。
正社員経験のない、元フリーターです。
妊娠・結婚を機に、正社員になる決意を固め、東京から実家に帰郷。
求人の少ない田舎での、大変な就職活動を経て、正社員として、医療事務で採用されました。
妻と子どもと3人で、仲よく暮らしています。
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30代フリーターが正社員になったエピソード1.フリーター生活
高校を卒業して、鹿児島から単身東京に渡りました。
これまで、陸上スポーツの経験があった私。
ですが、「音楽に関わる仕事をしていたい」、「東京で暮らしたい」と思っていました。
当時、その二つの希望が入り混じった、複雑な気持ちだったことを今でもよく覚えています。
はじめは、同じ同郷の先輩の家に、住み込ませてもらいました。
それから、たくさんある仕事のなかから、アルバイトを探します。
飲食店や水商売の世界に飛び込み、借り暮らしのような生活を送っていました。
ある日、住み込ませてもらっている先輩が、実家に帰ることになります。
私も泣く泣く都内で、安い家賃の引っ越し先を探しました。
収入も、これまで以上に必要となり、飲食店や水商売もフルタイムで働くように。
すると意外なことに、1か月間フルタイムで働くと、月収200,000円を達成。
これだけのお金でも、稼ぐのは簡単なもので、それ以上を望むこともできました。
フリーターとして、その後も、いろいろなアルバイトを経験した私。
しかし、どれも長くて1年ほど。
それ以上は続かなくて、すぐに職を変え転々としていました。
このころ重視していたのは、「楽に生活できるだけの、収入さえもらえればいい」ということ。
音楽のこともいつしか忘れ、なんの責任も感じることなく、毎日が楽しく過ぎていき、将来のことなど、ちっとも考えていませんでした。
30代フリーターが正社員になったエピソード2.正社員になる決意
そんな私に転機が訪れたのは、たまに行っていた歌手活動のなかで知り合った、一人の女性との出会いでした。
すぐに打ち解けて、出会って2回目からは、2人きりで会うのが当たり前に。
おのずと関係は恋人に発展し、出会って3か月後には、同棲をしていました。
そんな彼女が体調を崩し、病院受診をしたにもかかわらず、なかなかよくなりません。
ネットで、症状や病気のことをたくさん調べました。
すると、一つの疑問がうかんできたのです。
「もしかして、妊娠しているのでは?」と。
それから妊娠検査薬を試すと、陽性反応が。
産婦人科に行き調べてみると、彼女のお腹のなかに、小さな命が宿っていました。
私も彼女も喜び、ためらうことなく籍を入れて、夫婦関係に。
それから、東京で3人の家族暮らしに胸を膨らませ、身重な彼女を家におき、私が精力的に新居先を探し回りました。
そして、都心からは少し離れた地に、新居先のめどを立てていた、契約前日の晩のこと。
突然、実家の父親から、電話が。
「不安定なフリーターのまま、子どもを育てる気か?」
この言葉は、私の胸のなかにあった不安を見事に射た言葉でした。
それから、新居の契約をお断りし、実家に帰郷。
正社員として、働いていく決意を固めました。
私は、このときすでに、32歳になろうとしていたのです。
30代フリーターが正社員になったエピソード3.正社員になるまで
出産を機に、実家のある鹿児島に帰郷しました。
私の地元は、鹿児島市からはだいぶ離れた場所にあり、電車は昭和に廃線、バスも1日数本しか、走らないような田舎です。
それでも、大手の誘致企業や全国チェーン店のスーパー、コンビニ、レストランがあります。
就職先を考えた場合、これまでの経験を活かして、飲食店で働くが自然でした。
ですが、サービス業は休日が忙しく、家族サービスができなくなります。
そのほかで、給与や福利厚生がしっかりしているとすれば、病院、介護施設などが中心に。
もちろん、どれも未経験の業界です。
ですが、ハローワークに通って感じたことは、「地元で正社員になるのは、簡単じゃない」ということ。
毎日通って、誰よりも先に新しい求人に目を通す人も、いるわけです。
「そのなかから、30代未経験高卒、正社員経験のない自分が、簡単に採用される訳がない」と考えていました。
ハローワークで、介護施設の求人をいくつか紹介してもらった私。
給与は、高卒の無資格だと、かなり低いです。
そこから税金や保険料を引かれると、かなり節制しなければ、生きていけません。
そんな押し問答をハローワークと続けていると、実家の父から電話がありました。
「病院SEとして、紹介できる病院があるかもしれん」
かなり嬉しい知らせでしたね。
その病院では、地元で職員数が1000人近い、大企業です。
それからすぐに、ハローワークを通して、面接を行います。
結果、希望するSEではなかったものの、医療事務として、採用していただけることになりました。
30代フリーターが正社員になったエピソード4.正社員になってから
入社した当初は、風当りが強かったように思います。
医療事務は、全員が専門の学校を経て医療知識、医療資格を持った人たちです。
そんななかに、未経験無資格30代が、一人ぽつんと入れられたのですから。
馴染めないこともあり、「辞めたい」と考えることも、何度かありました。
ですが、これまで自分の人生を振り返ってみても、フリーター時代は気に入らないとすぐに転職して、長続きした試しがありません。
「今は、妻と子どもがいる立場で、辞めてしまったら、先の見えない就職活動がはじまる」
それに、こう思うと、そっちのほうがゾッとしました。
2年、3年と経つうちに、知り合いや友だちも増加。
人事異動で、また新たな出会いがあったりして、楽しいことも増えてきました。
給与も高くはありませんが、徐々にあがってはいます。
それに、賞与ボーナスは必ずもらえ、福利厚生も安定しているほうです。
今では、フリーター時代の自由な生活や考えが、羨ましい反面、恐ろしく思っています。
まとめ
夢や目標があって、仕方なくフリーターをする人もいるでしょう。
しかし、なにもすることがなくて、ただフリーターやってる人もいます。
それぞれ違う人生ですが、私のように正社員経験のないフリーターが、たまたま中小企業の正社員を掴むことだってあるのです。
「すべては運だし、その人の人間性が、運を掴むものだ」
私は、そのように感じました。