33歳、専業主婦。
元キャビンアテンダントです。
現役時代から、自身の苦い経験のみならず、同期や先輩・後輩などの、恋愛のから騒ぎに巻き込まれる。
また、痴情のもつれを幾多と目にしてきた結果、「華やかすぎる世界に、真の幸福は見出せない」と悟ります。
少々、遅れ気味ではありながらも、身の丈にあった結婚をし、現在は、無事に幸せな主婦として落ち着く。
同僚や友人で離婚した人のエピソード1.素直でタフな魔性の女
CA時代、その面倒見の良さから、多くの後輩に慕われていた美人の先輩Aさん。
私もその例外ではなく、いつも完璧な身だしなみで、プロ意識の高い接客を欠かさないAさんに憧れていました。
ところが彼女、プライベートではかなりの魔性の女。
フライトのステイ先で、お食事をご一緒すると、十中八九、話題は彼女のモテ伝説の数々でした。
「今の彼氏が気に入らないことをしたから、お詫びとして、欲しいアクセサリーを買わせてから、別れる!」
「それで別れたら、順番待ちをしている男友だちと付き合う!」と、豪語するのです。
まるで、漫画かドラマのなかのような話。
ですが、Aさんは本当にそれくらい、モテまくっていました。
そんなAさんが、ついに年貢を納めたのは、私が25歳、彼女が27歳のころのこと。
イケメンパイロットと運命の出会いを果たし、トントン拍子にゴールイン。
魔性の女が、あっという間に牙を抜かれ、SNSでも、堂々と彼とのラブラブ写真を公開するように。
もちろん、歯の浮くような惚気コメントが付いていて、周囲はあっけにとられました。
しかし、その2年後のある日のこと。
SNSを開くと、ある投稿がトップに表示されました。
そこには、いつものような幸せいっぱいの食事風景や、記念日にもらったバラの花束などの写真ではなく……。
勢いに任せて書かれたような、長文が書かれてあったのです。
「旦那が浮気してた。豚みたいな顔のキャバ嬢と。どうやって償わせようか?」
「ここに、アホみたいなメールのやり取りと、アホみたいなツーショット写真アップして、さらしてやろうか」
内容は、そんなところでした。
通常、モテ自慢をしたり、SNSでリア充ぶりを公開したりするのが、好きな人の心理には、ある特徴があります。
それは、見栄やプライドから、いいことは盛りに盛って、悪いことは伏せる傾向があるのです。
ただ、彼女の場合はきっと、ただただ素直だったのでしょうね。
モテた事実を話し、幸せな結婚をしている日常をつづり、浮気をされた怒りをぶつけたのですから。
結局、それからAさんは周りになだめられ、浮気の証拠メールも写真も、アップすることはなかったです。
その後、淡々と離婚をつきつけた、後日談がつづられていましたね。
それから、約3ヶ月後のこと。
どうしているか気になって、覗いたAさんのSNSのページには、新しい投稿が。
そこには、某超一流ホテルのラウンジで、優雅にアフタヌーンティーをたしなむAさんの姿がありました。
「『ここのケーキが一番好き』ってポロっと話したの、覚えててくれたんだ!! 嬉しい!!」
写真の手前には、ちゃんと、もう1人分のティーカップ。
Aさんはすでに新しい恋人をつくり、再びやってきた、シングルライフを謳歌していたのです。
いやはや、お見それしました。
同僚や友人で離婚した人のエピソード2.鬱はうつるもの
私が27のころ、同期のBちゃんが鬱病になってしまいました。
原因は、職場でのイジメ。
聡明なうえに、背が高く、華のある容姿の彼女は、CA界のなかでも、一際目立つ存在でした。
しかし、妬みの対象でもあったのです。
そんなBちゃんのことを快く思わない先輩たちが、Bちゃんのひどい噂を勝手に、言いふらしたみたいですね。
Bちゃんは、若いころに結婚しましたが、子どもはいません。
ですが、一回り以上も年上の旦那さんは、とにかく彼女を溺愛していました。
なので、Bちゃんはこう言っていたのです。
「フライトがメインの生活で、家事などが多少おろそかになっても、まったく問題ない」と。
ですが、このほど鬱を発病し、仕事も家事も、ろくにできない状態になってしまいました。
その際、旦那さんは根気強く、Bちゃんを支えたそうです。
彼女が一日中、廊下に座り込んでいても、泣き叫んで、そこらにあるものを手当たり次第、壁に投げつけても……。
「私を責めたり、無理に励ましたりせず、黙って抱きしめて、背中をさすってくれた」と聞きます。
その甲斐あって、Bちゃんは、半年で随分回復しました。
外にも出られるようになり、「人と話すことが楽しい」と、思えるようになったのです。
ところが、それとときを同じくして、旦那さんの様子に、変化があらわれました。
ある日当然、「外に出たくない」、「誰とも話したくない」と、言い出したそう。
そしてなんと、あんなに自身が溺愛し、献身的に支えてきたBちゃんに対し、こう言ったそうなのです。
「お前のせいで俺はこうなった。俺の人生を返せ」と。
「鬱は身近な人間にうつる、それも、本人の鬱が治ったあとに発症する」
いつか誰かに聞いた、その話を思い出したBちゃんは、「背筋が凍った」と言います。
「今度は私が支える番だ」と、彼女は必死に歩み寄ろうとしました。
ですが、彼の愛情は介護疲れのなかで、完全に冷め切ってしまい、彼女を頑なに拒絶したのです。
結果、離婚するしかない状態に。
「離婚の話し合いや手続きなどを進めるのが本当に大変だった。でも私のせいだから……」
Bちゃんは疲れた顔で、そう言っていました。
これが実は、「Bちゃんに鬱介護の辛さを味あわせたくない」という、彼の優しさだったのなら、それはそれで、感動的なお話なのですがね。
同僚や友人で離婚した人のエピソード3.ダブル不倫の行く末
Cちゃんは、小柄でアイドルのように可愛らしく、機内でも男性のお客様に、大人気な後輩CAでした。
学生時代から付き合っている同級生の彼とは、何年も遠距離恋愛をしている関係。
「25歳になったら、結婚しよう」と、約束していた通り、2人はめでたく入籍しました。
Cちゃんの彼は、飲み歩くのが好きな「ザ・商社マン」といった感じで……。
彼女はいつも、そんな彼の身辺を気にしていました。
「早く子どもがほしいのに、どこで済ませてくるのか」
旦那さんのほうに、いつも性欲がないことも、悩みの種だったそうです。
ある日の、フライトの離陸時のこと。
CAシートで、その日の朝、彼の携帯に、疑わしい女性から着信があったたことを思い出し、沈んでいたCちゃん。
そんなCちゃんに、向かいの座席に座っていた男性客が声をかけます。
「ご気分悪いんですか?」と。
思いがけず、優しい気遣いを受け、はからずも涙がこぼれてしまったそうです。
男性は結婚指輪をしており、「自分も結婚しているが、妻に浮気されていて、悩んでいる」と告白。
普段なら、遊び人の既婚者がよく使う手口だと、軽く聞き流すようなことです。
しかし、その日はすっかり話し込んでしまい、意気投合した2人は、着陸時に番号を交換しました。
それから頻繁の連絡を取るようになり、あっという間に、2人は親密な関係に。
もとより一途だったCちゃんはすっかり思いつめ、ついには、旦那さんにこう言ったのです。
「あなたが遊んでいることは知っている。でも、もう慰謝料もなにもいらないから、離婚してほしい」と。
彼はまさかの事態に驚き、「別れたくない」と懇願しましたが、あとの祭り。
Cちゃんの意志は固く、彼は諦めざるを得ませんでした。
私をはじめ、Cちゃんと親しい周りの人間は、このように心配していたのです。
「結果的に、ダブル不倫をしている相手の男性が実は本気ではなく、彼女が単独で突っ走ったことで、相手の男性が引いてしまうのではないか」と。
ところが、その2人は、Cちゃんの離婚が成立した半年後、「待ってました」とばかりに入籍。
なんと、男性側も離婚していたのです。
そして驚くべきことに、そのあとすぐに、妊娠が発覚し、待望の赤ちゃんを出産。
「一体いつできた子なの? むしろ、Cちゃんが慰謝料を請求される側だったのでは?」
そのように周囲に突っ込まれ、困った顔で笑うCちゃんは現在2児の母で、毎日とても幸せそうですね。
まとめ
一口に離婚といっても、三者三様のストーリーがあるものです。
一度きりの結婚で済めば、それに越したことはありません。
ですが、続けていくのが苦痛な結婚生活なら、無理にしがみつくのをやめてみるのも、またひとつの道。
「やっぱり、気楽な独身に戻りたい!」「別の人と結婚して、やり直したい!」
あとで、そう思っても、まずは離婚しないと、そのスタート地点にも立てないのですから。