41歳、主婦。
高校卒業後に、アルバイトから正社員登用され、大手企業に就職。
それ以降、大手の企業を中心に、複数回の転職経験あり。
現在は、趣味の映画や音楽の鑑賞をしながら、自然の多い土地で、のんびりと過ごす日々。
私が遭遇した「社会の闇」エピソード1.隠蔽工作
それは今から10年以上前、私が従業員300人ほどの企業で、事務として働いたころの話。
いつものように仕事をしていると、1本の電話が入り、それから事務所のなかが、なにやら慌ただしい雰囲気になったのです。
やがて、上層部が急に集まり、別室へ。
しばらくは、誰も戻ってきませんでした。
「なにがあったんだろうね」
詳細が分からないまま、上司たちが席を外したため、業務がとどこおりはじめたころ、全員が戻りましたが、異様な空気でした。
そのとき、社内にいた会長が、電話をかけはじめたのです。
相手は政治家でした。
漏れ聞こえる会話の内容に、社内の空気が張り詰めたのが、今でも忘れられません。
理由は、数日後に公表されました。
社員の1人が、業務中に犯罪行為を行い、逮捕されていたのです。
証拠もあり、言い逃れはできない状態。
業務中であったことから、相手の企業ともトラブルになる可能性がありました。
会長が政治家へのかけていた電話の内容は、相手企業との仲裁や、事件の隠蔽を依頼するものだったのです。
しっかりと依頼は果たされ、事件は公にならず、該当社員は懲戒解雇となりましたが、そのあとのことは分かりません。
刑事事件を、そんな手段で隠蔽できるなんて、夢にも思いませんでした。
一切報じられず、関係者しか知らないため、その社員が犯罪者だと、知らない人も少なくありません。
同じ会社の社員が罪を犯したことも衝撃的でしたが、いつもほがらかな会長がそんな手段を講じたのにも驚き、社会の闇を見たような気がしたものです。
私が遭遇した「社会の闇」エピソード2.未遂
殺人事件などが起こると、犯人に対して「そんな人だとは思わなかった」などのコメントなどが、ニュースで流れることがあります。
以前はそういうニュースを見て、「そうは言っても、なにか問題があったはず」と思ったものでした。
しかし、20年ほど前に起こったある事件によって、そういう概念はくつがえされたのです。
その朝、いつものように新聞を広げた私は、そこに知人の顔を発見。
なんと知人は、殺人未遂事件の「加害者」として、新聞にのっていたのです。
趣味を通じて知り合った知人は、私より1歳上で人あたりのよい、とても爽やかな好青年。
「そんな人だとは思わなかった」と、本気で思いました。
すぐに共通の知人に確認をとったところ、新聞報道は事実。
以前から険悪だった兄弟と喧嘩をし、刃物で相手を傷付けて、重傷を負わせたのだそう。
あれから、随分と年月が過ぎましたが、今でも、どこか信じられない気持ちです。
少なくとも、私の前では、彼はいつでも「いい人」でした。
優しくて明るい人で、事件の数日前にも、会ったばかり。
それきり会っていないので、いまだに、夢のなかでのできごとのようです。
予想もしない人が、事件の「加害者」になることがあることを知りました。
その当時、「社会の闇」を覗いたような気持ちになったものです。
なにも知らない人にとっては、彼は殺人未遂事件の加害者で、いい人ではありません。
そう考えると、「普段ニュースで見る事件の加害者たちも、もしかしたら、悪人だと断言できる人ばかりではないのかも」と、思えてならないのです。
私が遭遇した「社会の闇」エピソード3.縁故入社
これは数年前のことです。
当時勤めていた会社に、時期外れの新入社員が入社しました。
第一印象は、「暗くて笑わない人」。
当時彼は23歳くらいで、大学中退、職歴はありません。
比較的大きな会社で、毎年きちんと新卒採用があったのですが、人手が足りなければ中途採用を行うこともありました。
しかし、入社時期や経歴から、明らかに普段とは、なにかが違っていたのです。
驚いたことに、入社した彼は一般常識が欠片もありませんでした。
挨拶の習慣もなく、誰かの話を集中して聞くこともできず、メモも取らないし、なにも覚えないのです。
半年ほどが過ぎて、彼が「縁故入社」なのだと知りました。
よくある名字なので気付かなかったのですが、彼の父親は、その会社の重役だったのです。
そのせいか、彼がどんな態度を取ろうと、どれだけ仕事ができなかろうと、誰も注意すらしない状態でした。
月日が過ぎるうちに、彼も研修が終わり、お客様相手の仕事が開始。
すると毎日のようにクレームが発生し、彼以外の人間がその対応に追われはじめたのです。
「辞めさせるわけにもいかない」、「強く注意することもできない」という状態に、社員たちのストレスがマックスになったころ、彼は突然退職。
自主退職してくれたおかげで、ほっとした人は少なくなかったでしょう。
「あのまま退職せずに、彼が働き続けたら」と思うと、身震いがします。
挨拶もできず、常識もなく、仕事もできないことを考えると、通常であれば採用にすらならなかった可能性があります。
しかし、そんな人でも「コネさえあれば、きちんとした企業に就職できるのだな」と、羨ましくすら思ったもの。
「縁故採用はしない」と公言している会社だったのですが、それでも100パーセントとはいかないようです。
まとめ
これまで、さまざまな社会の闇を覗いてきたように感じています。
かつては事件などに直面するたびに動揺したものですが、最近は少しずつマヒしたようにも感じるのです。
いずれのエピソードも、私にとっては、社会の闇を思わせる、強烈なもので、年月が過ぎた今でも、忘れることができずにいます。