35歳男性。
現在は東京都内のIT企業に勤務。会社でインサイダー取引をして、諭旨免職となった。
社長お気に入りのマネージャーが、1年後に部長代理として、会社に復帰して仰天。
また、仕事上の筋道を上司をとおして、社長に説得したら、逆に社長からにらまれてしまうなどから、社会の理不尽さを痛感しました。
「理不尽な行為に、上手に対処するテクニックを身につけることが、必要なのだ」と実感している。
趣味は、ロードサイクリングと読書と株式投資。
見出し
「社会は理不尽だ」と実感したエピソード1.社長に気に入られた人間が復活してきた
私が現在勤務しているIT企業は、株式を上場企業です。
毎日自社株が取引されており、株価は上下に大きく変動。
したがって、東京証券取引所の職員から、定期的にインサイダー取引規制に関する講習を受けています。
そして社内には、自社株取引に関する、社内規則が定められているのです。
そのため、私の会社の社員が自社株を売買したいときには、あらかじめ上司と管理本部担当の取締役から承認を得ないと、自社株の売買ができない仕組み。
しかも、四半期ごとの決算発表の45日前になると、自社株の売買は禁止です。
そして、決算発表がされた翌日から、再び自社株売買が可能となっています。
この規則を破ると、社内規則違反ということで、懲戒処分を受けることになるのです。
さらには、厳しい社内処分や証券取引等監視委員会によって、告発される可能性もあります。
たとえば、決算発表の10日前に、決算内容を事前に知っていた社員が、おそらく株価があがっていくと予想して、会社に内密で自社株を購入していたことが露見した場合。
いわゆる、インサイダー取引です。
そして実際に、このインサイダー取引をしたことが露見して、諭旨免職処分となった、広報部のマネージャーがいました。
広報部は経理部から事前に決算情報を入手し、その情報をもとにプレスリリースの文書を用意。
この広報部のマネージャーが、自分名義と父親名義の証券口座で、約1,000,000円分の自社株を買っており、約200,000円の利益を手にしたことが露見したのです。
露見した理由は、東京証券取引所からの問い合わせでした。
東京証券取引所は日々、株価が怪しい動きをしていないか、ひとつひとつの銘柄の値動きをチェックしています。
ところが、私の会社が決算発表をする数日前に、急に不自然な形で、売買代金が膨らんだそうです。
そこで、総務部が主体となって、すべての社員を対象に、自社株取引をおこなったか否かのアンケートを実施。
意外にも、広報部のマネージャーは自発的に、インサイダー取引をしていたことを白状しました。
そして、社内の就業規則にもとづいて、諭旨免職となったのです。
ところが、諭旨免職となった人物が、1年後、私の会社に営業部の部長代理として、再入社してくることに。
とくに、管理本部の社員は仰天しました。
諭旨免職となったこの人物は、結局、インサイダー取引で証券取引等監視委員会によって、告発されることはありませんでした。
ですので、いわゆる前科者とはなりません。
それでも犯罪行為を犯した人物をよりによって、営業部門の部長代理という昇格人事により、会社に復帰させることには驚きました。
この人物は、社長のお気に入りの人物だったのです。
そして、私の会社をいったん諭旨免職されたあと1年間は、社長の資産管理会社の社員として、社長から給料をもらっていたことが判明。
社長から気に入られていれば、犯罪行為を犯して、会社をクビになっても、堂々と会社に復帰できるのだと、社会の理不尽さを感じたものです。
「社会は理不尽だ」と実感したエピソード2.正論を主張したら逆に社長から睨まれてしまった
数年前、私の会社で、社長を中心にして、新規事業のプロジェクトが開始されました。
現在では、その新規プロジェクトの全容は明らかになっており、投資総額が30億円で、メインバンクからの借入金は、20億円にものぼっています。
私の会社では、これほどの投資金額を要する新規事業であれば、事前に管理本部、とくに経理部に資金繰り面で、事前相談があって当然のこと。
また、経営会議や取締役会には、「新規事業の件」という議題で、審議にかけるべきだったと思います。
ところが、社長は新規事業について、経営会議や取締役会にかけることをしませんでしたし、資金繰り面でも、経理部に通知することはなかったのです。
ある時期から、取締役会が開催されるたびに、億円単位の発注契約案件が審議にかけられ、社長直轄案件ということで、賛成多数で可決されていきました。
そして、そのたびに契約書が経理部にまわされて、「いつまでに〇億円を振り込むように」と、指示がくるだけだったのです。
当時の私の会社には、現預金が10億円ありましたが、それは運転資金用として手元に残していました。
ところが、新規事業案件のおかげで、次々と現預金が減っていきます。
やがて現預金は枯渇し、メインバンクに交渉して、5億円ずつ借入金を増やしていくことに。
経理部内では会議を持ち、「いったいどういうことなんだ」という声があがり、経理部長はじめ、私たちは怒り心頭。
そして、「新規事業の全容をつかむことができなければ、資金繰り破綻しかねない」という、危機感を持つにいたったのです。
そこで、管理本部の取締役に報告し、経理部長が社長に直接話をしました。
すると、社長が「おい! おまえたちは自分たちで金を稼いでないくせに、偉そうなこと言うな!」と、経理部のところへ怒鳴りこんできたのです。
それからというもの、新規事業を手がける社長側近たちから、白い目で見られる私たち経理部。
たまに、監視されるかのような目つきで、遠くから見られてしまい、かなり理不尽な思いを味わったのでした。
「社会は理不尽だ」と実感したエピソード3.私の知人が中途入社して3ヶ月後に、年収を大幅に減額された
私の知人が、ある会社へ中途入社したときのできごとです。
彼は、30代半ばの年齢でした。
ある会社から採用面接の場で、内定通知をいただくことができたのですが、入社の条件として、社宅への入居を求められたのです。
彼は独身でしたし、年収が7,000,000円というよい待遇でしたので、その場で了承。
入社して2ヶ月後に、社宅のマンションに転居したのでした。
ところが、この会社は3ヶ月ごとに人事評価面談が実施されるのですが、いきなり最初の人事評価面談で、思わぬ通達が……。
なんと、年収を7,000,000円から5,500,000円へ、引き下げられることになったのです。
私の知人は、あまりに突然の通達に驚き、「いったいどういう理由で1,500,000円も引き下げられるのか」と、上司に質問。
すると、「社宅の家賃も給料として認定されるため、家賃相当額の1,500,000円を給料から、差し引くことになった」と言われたのだそうです。
実際、彼が入居した社宅は、都心の分譲賃貸マンションでした。
エントランスにはオートロックが2つ設置されており、マンションの廊下はカーペット敷きの内廊下です。
このような高級マンションですから、たしかに年間の家賃相当額は1,500,000円かもしれませんが、これではだまし討ちのようなやり方です。
しかし知人は、これを受け入れました。
「嫌なら辞めてくれ」と、上司から言われたのです。
そして、理由はどうであれ、入社3ヶ月で退職しては、次の転職活動がきわめて難しくなってしまいます。
「最低でも、2年や3年はこの会社で、我慢しなければならない」と、死人のような目つきでなげいていた、知人の顔を忘れることができません。
世のなかには、理不尽な経営者がいるのです。
まとめ
世のなかは、理不尽なことだらけです。
社長に正論を言えば、逆に社長側近たちから監視。
社長から気に入られていれば、犯罪行為をしても、1年後には会社に好待遇で復帰できます。
サラリーマンに必要な能力は、理不尽な行為に対して、どのように対処するかなのだと、気づかされた次第です。