28歳事務職女性。
26歳で、6つ年上のバンドマンと結婚。
家には、ベーシストの旦那専用の機材部屋があるため、最近「自分にも専用の趣味部屋が欲しい」と思っているが、旦那に言い出せずにいる兼業主婦。
趣味は、ゲームと旦那の練習風景をこっそり覗くこと。
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バンドマンと結婚したエピソード1.旦那のファンになる
当時24歳だった私は大阪で仕事をしていたのですが、彼氏もおらず結婚願望もなく、ただひたすら仕事に打ち込む日々。
私には3つ上の姉がいて、姉はそんな私に「少しでもいい出会いを」と以前から、姉のまわりの人を紹介しようとしてくれていました。
姉は東京で仕事をしながら、趣味でバンド活動をしていたので、紹介されるとすればバンドマンが大半です。
「正直、大阪にいるのに東京の人を、しかもバンドマンを紹介されても……」という思いから、「縁があればね」と、まともに取り合おうとしていませんでした。
そんなある日、姉が1通の写真つきメールを、スマホへ送ってきたのです。
メールを開くと、「好きなのを選びなさい」という文字とともに、バンド仲間の飲み会中の写真が。
「好きなのと言われても」と思いながら、写真を拡大して見たのですが、その写真のなかにいた、一人の男の人に「ドキリ」と、胸が高鳴ったのです。
特別イケメンというわけではないのですが、雰囲気がとても気になって、仕方ありませんでした。
すぐに姉にメールし、その人の詳細を教えてもらうことに。
どうやらその人は、姉の先輩バンドマンらしく、名前やバンド名、楽器はなにをしているのかを聞きだしたところで、ショックな情報が。
その人は付き合っている彼女がいて、しかも同棲中であるということ。
「世のなか、そう上手くはいかない」と、落胆したのを今でも覚えています。
それでもその人のことが忘れられず、その後もその人のブログを読みに行ったり、You tubeにあがっているライブ映像を見たりした私。
その結果、その人の存在に、ドップリとはまってしまいました。
憧れの存在となり、完璧なファンになってしまったのです。
バンドマンと結婚したエピソード2.ファーストコンタクト
ファンになってから3か月くらいたったある日、姉から電話がありました。
「ちょうど前言っていた、先輩と一緒に飲んでいるから、電話で話してみれば」と。
うろたえる私を無視し、姉は電話を彼に渡しました。
なにを話したかあまり思い出せませんが、「遠い大阪の地から、お慕いしています」ということを、必死に伝えたのは覚えています。
彼は電話の向こうで、私のうろたえぶりに爆笑していました。
笑いながら、「今度東京に遊びにきたときは、ライブ見においで」と言われ、かなり舞いあがる私。
時間にしたらたった5分の電話でしたが、私を昇天させるには十分な時間でした。
それが旦那と私のファーストコンタクトです。
バンドマンと結婚したエピソード3.ファーストコンタクトのその後
電話で話した翌日、彼のほうからface bookで申請がきました。
まさか、向こうから申請してくれるなんて、思ってもいなかったので、すぐに申請を承諾し、メッセージを送信。
反応があまりにも早かったので、また彼には笑われてしまいましたが、それをきっかけに、ちょこちょこメッセージでやりとりをするようになりました。
「これからスタジオ練習に入る」とか、「明日からレコーディングで缶詰め」だとか、日常を教えてもらえるだけで、嬉しかったです。
同棲中の彼女の話もたまに聞くことがあり、そのときは気持ちが沈みました。
しかし、それでも彼と連絡を取りあえることが嬉しくて、メッセージがくれば即レス、という状態を続けていたのです。
そのうちface bookのメッセージだけでなく、たまに電話もするように。
電話の頻度がだんだんと増えていくことで、私のなかに淡い期待が芽生えました。
「もしかしたら、彼も私に好意を寄せてくれているかもしれない。いや、まだちゃんと会ったこともない人なのに、いやいや、だったら会えばいいのでは?」
恋する乙女の思考と行動力は恐ろしく、すぐさま東京行きの計画をたてました。
姉に会いに行く体で東京へ行き、「5分でも10分でもいいから、彼と直接会って話をしよう」と、決めたのです。
仕事の都合上1か月後にしか動けなかったので、1か月後の東京行きチケットを購入。
彼に1か月後東京に遊びに行くことを告げ、「予定が合えば、会いたい」旨を伝えました。
急なことに彼は驚いていましたが、それでも彼は予定を空けてくれ、見事会う約束を取り付けたのです。
バンドマンと結婚したエピソード4.はじめての顔合わせ
はじめての顔合わせは彼の家でした。
彼女と同棲中の家には行きたくなかったのですが、「彼女はいないから」と、彼が強引に決めてしまったのです。
最寄りの駅まで迎えにきてくれて、嬉し恥ずかしの初対面。
電話でたくさん話はしていたので、緊張したものの、気まずい感じは少しもしませんでした。
「あんなに憧れていた人が、目の前にいる!」という高揚感は、とても気持ちよかったです。
そのまま彼の家へ行き、部屋へ通された私は、ある異変に気付きました。
女性の住んでいる気配が、一つもないのです。
彼に尋ねると、彼から衝撃の告白をされました。
「彼女に出て行ってもらったから、今は一人暮らしだ」と。
そしてこう続けたのです。
「今日言おうと思って、この日のために彼女と別れた。結婚を前提に付き合ってください」
憧れの彼から、こんなことを言われたら、即レスで「OK」と、言うしかありませんよね。
バンドマンと結婚したエピソード5.交際スタート
交際スタートといっても、大阪と東京での遠距離だったため、LINEと電話をするくらいしかしていません。
ただ、彼はLINEも電話も毎日くれました。
趣味ではなく本気で、バンド活動をしていた彼。
なので、普通の仕事をしながら本格的なバンド活動もして、忙しい毎日を送っていたはずなのですが、それでも律儀に時間があればLINEをくれるし、夜は必ず寝る前に、電話してくれていました。
普通は遠距離だと、相手がなにをしているかわからなくて不安ですし、相手がバンドマンとあっては、なおさら心配です。
でも、毎日欠かすことなく連絡をくれていたので、私が心配になることはありませんでした。
逆に、彼のほうが心配をしていたくらいです。
私もきちんと連絡を取っていたのですが、当時の私は友人が多く、毎日のように友人と遊んでいました。
彼からの電話に気付かずに遊んでいて、少ししてから気付き、電話をかけなおすと、もう彼はご機嫌斜め。
そんなことが1ヶ月続き、とうとう彼は怒ってしまいます。
そうして私に言いました。
「2ヶ月後に家を引っ越すから、東京にこい」と。
住んでいるマンションがあと2ヶ月でちょうど更新らしく、それを機に「同棲しよう」と提案してきたのです。
「もうこれ以上、不安な日々を過ごしたくない」とも言われました。
その提案を聞いたときは、かなり迷いましたね。
なぜなら、まだ1度しか会っていないのに、もう同棲だなんて誰がどう見ても、早すぎるからです。
仕事も辞めなければ行けないし、今住んでいるところも引き払わなければならないし、親にもなんて言えばいいのやら……。
しかし、「これを断れば、せっかく付き合えたのに、すぐに別れ話になってしまう」と思い、半ばヤケクソで同棲することに同意。
さすがに2ヶ月だけでは、仕事の引き継ぎやマンションの引き払いなど間に合わなかったため、彼に頼んで3ヶ月猶予をもらったのです。
その間に仕事を辞め、親にも説明し、住んでいた家を引き払いました。
彼が引っ越すときにもう一度東京へ行き、引っ越しを手伝って新居の準備を手伝ったあと、私も自分の身を整えて上京したのです。
バンドマンと結婚したエピソード6.同棲スタート
そうして、2回しか会ったことない彼との同棲生活が開始。
心配した友人たちからは、「絶対騙されてる」だとか、「すぐに捨てられる」だとか、「ほかに女つくられる」だとか、かなりきつく言われました。
2回しか、会ったことないバンドマンと、いきなり同棲をはじめるのですから、そう言われるのも当たり前です。
でも彼は本当に一途で、仕事が終わったら「今から帰るよ」と、メールは必ずしてくれましたし、バンドの先輩から夜のお店に誘われても、絶対に行かない人でした。
ライブに連れて行ってくれたときは、知り合いみんなにちゃんと紹介してくれます。
ただ、ライブに連れて行かれるのは、あまり好きではありませんでした。
「彼女」という立場が出しゃばっているようで、嫌だったのです。
「あの彼女は、毎回ライブに顔を出して、調子に乗っている」と、思われたくありませんでした。
「嫁であれば、こんなことは思わないのだろうな」と、いつも思っていたのです。
それに、彼の周りの女性ファンや共演者の女性が、彼と親しそうに話しているのはやはり見たくありません。
くだらない嫉妬もしたくありませんでしたし、機嫌が悪くなっている私の相手を、彼にさせるのも嫌でした。
バンドマンと結婚したエピソード7.入籍
同棲をはじめて1年後、入籍の話がでました。
「いい歳した2人が同棲しているのだから、入籍してしまっても問題ないのではないか」と。
「正直、入籍してもしなくても、私たちの関係はかわらないだろうから、入籍にこだわらなくてもいいのでは」と、思っていました。
私は働いているため、自分の食い扶持は自分で稼いでいます。
彼も彼で、バンド活動はしているものの、普通の仕事もきちんとしていましたので、高給取りというわけではありませんが、ちゃんと収入はあります。
「どうしようか」と二人で考えていたときに、「じゃあ逆に入籍しない理由ってなんだろうね?」と彼に聞かれてしまい、たしかにそうだと思ったのです。
それからはトントン拍子に話が進み、おたがいの親との顔合わせもすんなり終わって、気がついたら入籍まですませていました。
バンドマンと結婚したエピソード8.結婚生活
結婚してからなにか変わったかと聞かれたら、なにも変わっていません。
彼は結婚前と変わらず、まめに連絡をくれます。
彼は浮気するくらいなら、私と別れてそっちに行く選択を取る人なので、浮気の心配もしていません。(いきなり、別れてほしいと言われる恐れはありますが・・・)
まだ子どももいませんし、おたがい好きなことをして過ごしています。
仕事をして帰ってきて家事をして、旦那のライブにもたまに顔を出す日常。
結婚する前もライブには行きにくかったのですが、結婚してからも行きにくいことに、変わりはありません。
「嫁になれば、堂々とライブに行ける」と彼女だったときは思っていましたが、「嫁という立場だと、共演者の人たちに失礼があってはいけない」という思いが強く、とても気を使ってしまうのです。
「あいつの奥さん、たいしたことないな」と思われてしまうと、旦那の株も下げることになりかねません。
嫁になったからといって嫉妬しなくなるわけでもないですし、見に行かないほうが、私の心は平穏でいられます。
ひとつ変わったことといえば、彼のバンドへの姿勢が変わりました。
結婚前は本格的にバンド活動をしていましたが、結婚してからは趣味の範囲でバンドを動かしています。
「所帯を持つということを、少しは意識してくれたのかな」と思うと嬉しい反面、「彼が本当にやりたいことを、つぶしてしまっているかも」とときどき不安になります。
彼にそのことを言ったことがあるのですが、彼からはこう返事が返ってきました。
「嫁が悲しむことは、俺のやりたいことじゃないから、嫁が悲しまない程度に音楽を続けるよ」と。
この人と結婚して、本当に良かったと思います。
まとめ
バンドマンというと、ヒモであったり遊び人であったり、あまりいい印象がないと思います。
でも、なかにはうちの旦那のように、まともな人もいるということが、わかっていただけたのではないでしょうか。
どうか、バンドマンに偏見をもたないでください。
私は胸を張って言えます。
「うちの素敵な旦那様は、バンドマンです!」、と。