30歳女性。主婦。生まれつきアトピーをもち、漢方治療なども試みるが、体質に合わず断念。
繰り返されるかゆみで眠れず、かき傷の跡が残るなどまったく女性として自信を持てない時期が続くが、現在はアトピーに理解のある現薬剤師の夫と結婚。
完治とはいかないものの、病気とうまく付き合いながら幸せな生活を送っている。
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アトピーの私でも幸せになったエピソード1.諦めていた恋愛
生まれつきアトピーだった私は、春は花粉のアレルギー、夏は暑さと湿気、秋から冬は乾燥…さまざまな症状に悩まされてきました。
幼少期に「大人になったら治るよ」と皮膚科医に言われてましたが、当時29歳の私は、いまだに重度のアトピーに苦しんでいましたね。
特筆してコンプレックスだったのは、ステロイドで変色した首元やデリケートゾーン、乾燥による粉吹き、服に落ちる皮膚を気にしなくてはいけないこと。
これまでに男性とお付き合いをした経験はありましたが、いつもこうしたコンプレックスから、堂々と自分をさらけ出すことができなったように思います。
そんななか、彼(今の主人)とは友人の紹介で知り合いました。英語を勉強したいという彼に、海外に留学経験のある私が紹介されたのです。
彼は、とても気さくで、笑顔がかわいい1つ年下の薬剤師さんでした。
大阪から上京し、東京に出てきたばかりで知り合いがあまりいないとのこと。メールや電話、なんどか会うなかで、私はどんどん彼に惹かれていきましたね。
同時に、「この肌を彼に見せるのは恥ずかしい。きっと受け入れてもらえない」という悲しく、諦めに近い気持ちが沸き上がってきました。
しかし、とある日。
生まれつきアトピーの私にとって、「肌をかくこと」は習慣のようなもので、無意識にかいてしまいます。
彼の前ではかかないように気を付けてはいましたが、ふと、英語のレッスンの最中に、かゆさに耐えきれず、ボリボリと首元をかいてしまったのです。
爪にはかき傷から出た血が。「しまった!」と思い、パッと彼の方を見ると、なんと、彼がそれを目の当たりにしていました。
「あぁ、嫌われる」そう思ったとき、彼がこう言いました。
「かいちゃダメだよ! アトピーはね、気持ちが大切なんだよ。ネガティブなことを考えていると、どんどん酷くなる。俺と一緒にいたら、嫌でもポジティブになって、きっとアトピーなんて治っちゃうよ!」
薬剤師である彼は、アトピーに関しても知識があり、いろいろな患者さんと接していました。
そのため、私のこともさして驚かず、むしろ受け入れてくれたのです。
そんなことを言ってくれる男性ははじめてで、私は勇気を出して、彼に想いを告げました。
アトピーの私でも幸せになったエピソード2.交際中の葛藤・変化
彼との交際がスタートしてからも、しばらくは、お泊りになるとまだ気持ちが暗くなりました。
入浴後、ベッタリと保湿剤・ステロイドを塗るにも関わらず、朝になるともうパサパサに乾燥してしまう身体。
夜、お布団に入るとかゆみが増し、無意識にボリボリとかいてしまう、それを見られる・聴かれる恥ずかしさ。
お泊りの日は一睡もできないということもあり、そのストレスが、さらにアトピーの症状を悪化させていきました。
しかし、それに気づいた彼は、こんな言葉を掛けてくれました。
「そんなこと気にしないでいい。かく習慣を一緒に少しずつ気を付けていこう。そうすれば、絶対に良くなる。かゆいときは、かゆみ止めを塗る。かかないことからはじめよう」
それからというもの、一人でいるときも、彼の言葉が脳裏をよぎり、かこうとする手をグッと止めることができるようになってきました。
それにともない、ステロイドの量もガクンと減ります。
そして、もう一つ、アトピーの症状を劇的に良くしたことがあります。
それは、思考の変化です。
なにかにつけ、ネガティブな考え方をしてしまう私。「私なんて」、「もしかしたら○○になるかもしれない」というのが口癖。
今思えば、「ポジティブでいることが悪いこと」のように思い込んでいる状態でした。底なしに明るい彼が「陽」だとすれば、私は「陰」というところでしょうか。
しかし、彼と一緒にいるうちに、次第に、毎日をハッピーに過ごすこと、明るい気持ちで前向きに過ごすことへの抵抗がなくなっていきました。
すると、どうでしょう。あんなに症状がでていた首元や、全身の乾燥がどんどん改善されていったのです。
「どうせ生きるなら、今をなげくより、明るく楽しく生きたいじゃない」それが、彼と私の合言葉になりました。
アトピーの私でも幸せになったエピソード3.結婚生活
アトピーの改善には、食生活の改善が不可欠です。
結婚後は、自分だけでなく彼の食事も用意するとあって、独身時代以上に食べ物に気を付けるようになりました。
- できるだけ化学調味料の摂取をさけ、お砂糖を控える。
- 発酵食品(納豆やヨーグルト)を毎日摂ることを心掛け、腸内環境を整える。
- 野菜、魚を中心に、日本食中心の食事を心掛ける。
こうしたことを実行することによって、肌の潤いが保たれ、少しずつお化粧もできるようになりましたね。
また、お料理のバリエーションも増え、日々のお弁当やお夕飯は夫婦円満の秘訣になっています。
主人の日々の体調も、前より快調な様子。まさに、一石二鳥というわけです。
アトピーの私でも幸せになったエピソード4.これからの未来
まだ子どものいない私たちですが、いずれ子どもが欲しいと思っています。
そこで気がかりなのは、「アトピーが子どもに遺伝してしまうのではないか」ということ。
同じ苦しみを味わわせるということは、あまりに辛く、残酷だと思うのです。
しかし、そこは主人と相談し、「もし子どもがアトピーになったときでも、自身が経験してきたことをもとに、二人でサポートしていこう」と決めました。
アトピーである辛さ以上に、生きることの幸せは数えきれないほど沢山あるのですから。
まとめ
アトピーは、女性にとって、とても深刻な病気です。
ときに、人生を諦めようとすら思うほど、辛く悲しい現実と向き合わなければいけないこともあります。
しかし、自身の境遇をなげくのではなく、心身ともに前向きに、自分も幸せになれるのだという希望を捨てないことが、症状改善・幸せな人生に繋がるのかもしれません。