ドブスの私が語る、今まで受けたブス差別エピソード3つ

差別

30歳女性。某生命保険会社のインバウンドコールセンター勤務。11歳のときに「バセドウ病」を発症し、眼球突出がひどくなってからは「化け物」、「宇宙人」となあだ名をつけられる。外を歩けばすれ違う人々に指をさされ、奇異の目で見られる生活を送っている。趣味は読書とアニメ・漫画・ゲームなどの二次創作同人活動。最近では、同人イベント参加者も、ある程度の容姿への厳しさを抱く時代になってきたため、居心地の悪さを感じている。

 

 

ブスで差別されたこと1.痴漢されても信じてもらえない

バスの中

 

毎朝、同じ路線・時間のバスで出社していました。

そのバスは、満員とは言えないものの、通勤ラッシュでそれなりに混み合っていました。

 

同じバス停で、降りる男性がいるのですが、降りる際に私のお尻に、意図的に触っている感触があるのです。

バスですから、もちろん人の波をかきわけながら出口へ向かいます。

 

はじめは、偶然触れてしまったものなのかと思いました。

「私のようなドブスは、痴漢をされるわけもないし」と、思う部分もあったからです。

 

しかし、さすがにおかしいと思った私は、思い切ってその男性の腕を掴み、「痴漢です!」と大声で叫びました。

捕まえた瞬間、男性の手や体はわずかに震え出しました。

 

その姿に、「やはりこの人は痴漢の常習犯だったのだ」と確信しました。

しかし、確信を得たのは私だけだったのです。

 

私を見る周囲の目は、とても冷たいものでした。

「お前が痴漢されるなんてありえないだろう」と、顔に書いてありました。

 

なかには「いやいや」と、小さく言いながら、となりの席の人と嘲笑している乗客もいました。

片手は吊革に掴まっているため、捕らえた痴漢をつなぎとめるのは、私のもう片方の手のみ。

 

「逃げられたり、殴られたりしたらどうしよう」と不安でした。

「どなたか、この人を一緒に捕まえておいてくれませんか」と、声を出してみましたが、全員が無視。

 

高校生くらいの男の子は、「本当に痴漢? ありえないっしょ~、バケモノみたいな顔してるし」と笑っていました。

バスの運転手さんが、「バス停の近くに交番があるから、そちらにその人を連行してください」と、言いました。

 

私は、女の力ひとつで必死に犯人を取り押さえていました。

交番から、市内で一番大きな警察署に、事情聴取のため移動。

 

その後、刑事さんからの言葉もひどいものでした。

「向こうは容疑を否認しているんですよ」と。

 

「あなたの勘違いじゃないですかね?男だって、誰でもいいわけじゃないですしねえ」と、笑っているのです。

味方のいない状況に、私は泣きました。

 

悔しくてたまらなくて、私の嘲笑っている人間たちすべてを、ぶったおしてやりたいとまで思いました。

たしかに、私はものすごいブスですし、周囲がそう思う気持ちがわからないわけではありません。

 

ブスであるからといって、信じてもらえないどころか、馬鹿にされるなんて、生きにくい世の中だと思いました。

 

ブスで差別されたこと2.職場であきらかなえこひいき

コールセンター

 

以前、私の職場はコールセンターでした。

某外資系の、カスタマー・テクニカルサポート業務です。

 

コールセンターといえば、職種にもよりますが、服装・髪型自由な場所が多いのが特徴。

その点から、若くておしゃれな女の子も、多数入社してきます。

 

私の同期には、常に腕や足を露出し、胸の谷間を見せつけるファッションをする、派手な美人がいました。

上司たちに、その容姿を武器として、媚を売っている子でした。

 

その子は、遅刻早退欠勤が当たり前。

しかし、上司たちはいつでも「○○ちゃんなら仕方がないよね」と、笑って許してしまうのです。

 

すべては、そのルックスの良さと日ごろの色仕かけの賜物。

対する私は、遅刻早退欠勤ゼロ。

 

業務の成績も上位に食い込む、数字だけで見れば「できる社員」。

しかし、上司たちがほめてくれることはありません。

 

むしろ「なんで、もっと数字をあげられないんだ」とか「見た目が良くないんだから、せめてそこで貢献しろよ」と、ハラスメントが日常茶飯事でした。

「仕事をしっかりとこなしているのに」と、思いました。

 

でも、私がブスだから仕方がないんだと、我慢をしていました。

ある日、退職のきっかけとなる大きなできごとがあったのです。

 

そのコールセンターは、希望休の提出が半月ごとの自己申告制。

休みがほしいときは、上司に直接相談しなければなりません。

 

申告のため、上司のもとへ行くと、そこにはあの派手女子が。

上司に、休み希望の相談を持ちかけているところでした。

 

上目遣いで頼むその子に、上司はデレデレで快諾。

満足げにさっていく彼女と入れかわりに、上司の前に立つ私。

 

上司はその瞬間、顔色が180度かわりました。

「ブスのくせに、希望休まで取ろうとしてんの?」と、冷たく言い放ちました。

 

その時点で、私は顔が真っ赤になり、悔しくて声が震えました。

頻繁に希望休を申告する先ほどの女子と違い、私が希望休を申告するのは、入社してはじめてのことです。

 

数か月前から、航空券とホテルも予約していました。

航空券については、行けなくなってしまえば、キャンセル料金も発生してしまいます。

 

私は、勇気を振り絞って上司に伝えました。

すでに、もろもろの手配がすんでいるため、行かせてもらわなければ困ると。

 

けれど、上司の返答は「できない」の一点張り。

その後には、かならず私の容姿への罵倒が続きました。

 

「見てるだけで不快にさせるのに、そのうえ仕事でまで面倒をかけるな」とか。

「いるだけで視覚的に迷惑をかけているんだから、休まず仕事で貢献しろ」とか。

 

「人間の見た目をしてないのに、人権がほしいのか」とまで、言われてしまいました。

さすがに我慢の限界がきて、私はその会社を退社しました。

 

みにくいものをみて、不快な気分になるのも理解できます。

けれど、仕事をちゃんとこなしているブスより、成績も勤怠も悪い美人のほうが優遇されるの納得いきません。

 

 

ブスで差別されたこと3.友人からも見下される

学友

 

女子にとって、きれいな友だちというものは、己のステータス。

美人と仲良くしているだけで、自分も同じ生き物であると、錯覚してしまうもの。

 

そういった心理からでしょうか。

私には、美人の友だちがいません。

 

学生時代から、美人の子たちが集まる、スクールカースト最上位のグループからは、いじめの対象とされていました。

そのグループのなかにも、優しい子はいました。

 

私のようなブスにも、わけ隔てなく話しかけ、親切にしてくれる美人。

「彼女は本当に、見た目も心もきれいな人間なのだろう」と、当時の私は感動しました。

 

ブスの私がおこがましいので、なるべく関わらないようにしていました。

しかし、彼女は休み時間に私がひとりでいると、声をかけてくれることもありました。

 

私は彼女の人柄にひかれ、友だちになりたいと思うようになりました。

勇気を出して、「今日、学校帰りに遊びに行かない?」と、誘いをかけてみました。

 

彼女は「ごめん、今日はピアノのレッスンがあるから」と断りました。

用事があるなら、仕方がないかと私もあきらめました。

 

数日後、忘れ物を取りに教室へ戻った私は、彼女が友だちと談笑している姿を目撃しました。

彼女の友人たちと仲良くはなかった私は、すぐに教室に入ることができず、彼女たちの会話に耳をそばだてるしかできません。

 

「最近、○○(私の名前)にしつこく絡まれてない?」と、いう声が聞こえます。

彼女のことを信じていた私はそのとき、最大のショックを受けます。

 

「ちょっと優しくするだけで、勘違いしちゃったみたい。外で一緒に遊ぶのはやだよね。並んで歩くの、恥ずかしいし」と、言っていました。

私は、忘れものを取りに行けずに帰宅しました。

 

その日は泣いて、ご飯が食べられませんでした。

友情ですら、容姿が関わってくる現実。

 

ブスが、人と接することへの恐怖を覚えてしまうのも、仕方のないことだと思います。

 

まとめ

人間というものは、自分と違うものを排除したがり、自分より下位の存在に安心する生き物ではあります。

けれど、「ブス」という存在にも、心があることをどうか、知っていただけるきっかけになればいいなと思います。