貧乏の家の子供は不幸でかわいそうだと思ったエピソード4編

同情する女性

27歳女性。自営業。

小さなころから動物が好きで、猫を飼っている現在でも、たまに猫カフェに遊びに行くこともあるほど。

 

デートで行くなら、遊園地か水族館が好きです。

ウサギやハムスターなどの小動物にも手を出したいが、猫と共生できるか不安で、まだまだ検討中。

 

 

貧乏の子どもは不幸だと思ったエピソード1.貧乏家族のペット探し

小型犬

 

私はペットショップの販売員として、働いていた時期があります。

そのお店がある地域は、お金持ちの人から、そうでない人まで、いろんな所得層の人たちが購入しにくるお店でした。

 

店舗数が多く、大きな企業だった私の勤め先。

チャンピオン血統の高い値段の生体から、飛ばし売りのような値段の生体まで、さまざまな価格帯の犬・猫たちが販売されていました。

なので、なかには子どもを連れて来店する、貧乏な家族もいたのです。

 

その場合大体が、そこの家の子どもが「ペットが欲しい」とゆすって、買いにきます。

正直、そこの家庭の所得層は服装を見れば、一目瞭然。

 

その日に来店した家族もそうでした。

10歳ほどの男の子が着ているのは明らかに、量販店で購入したような安そうな生地の服。

履いているのは紐やソールの、ヨレたニューバランスのスニーカーです。

 

お父さんは仕事帰りなのか、汚れた緑色の作業着を着ています。

新しい家族を探しにきたというのに、お母さんはしっかりとお化粧をしているわけでもありません。

 

私たちはあくまでも接客業ですので、お客さんの予想される予算に沿って、生体を紹介するのが暗黙の了解です。

なので、このような場合はお客さんが、どのような子を探しているのかをしっかりカウンセリング。

それから、100,000円台から200,000円手前の生体を紹介しながら、詰めいていくのが基本です。

 

なので、その日もまずはお客さんへの質問・対話からはじめました。

 

貧乏の子どもは不幸だと思ったエピソード2.高級生体を欲しがる息子さん

チワワ

 

どうやら、そこの家庭のお財布の紐を握っているのはお母さん。

店内のベンチに家族で座ってもらって話すときに、予算の話はお母さんが主軸となって、説明してくれました。

 

購入する予定の生体の予算は、ほかの経費込みで高くても、150,000円以内には納めたいとのこと。

犬のサイズや種類について伺っているときに、店内を見ていた息子さんが「僕、この子がいい!」と言いました。

 

その子が指を差しているのは、前の週に入荷されたばかりの、まだ体重が500gに満たない、極小生体のメスのチワワ。

カラーは、レアカラーのイザベラブルータン。

反射する灰色の毛並が非常に美しい子です。

 

母犬と父犬も小柄なので、その子も成長過程で大きくならない可能性が大きい血統(=チワワにおけるペット業界の市場価値は高い)。

顔も美人で、生後2ヶ月未満の高級生体です。

 

ですが、肝心のお値段は、ご家庭の予算を大幅に超える400,000円超。

お母さんは「とてもじゃないけれど、うちでは飼えない!」と諭しますが、息子さんは「せめて抱っこだけでも」と言います。

 

お店側としては、長時間じゃなければ抱っこくらい構いません。

しかし、お母さん的には「抱っこなんてさせたら、この子が『いい』って聞かなくなる」とのことで譲らないのです。

 

なので、泣く泣く諦める男の子をケースから離し、お話を再開。

「貧乏な家の子だと、『せめて抱っこだけでもしたい』という生体を触ることもできないのか」と、可愛そうに思いました。

 

お金持ちの家族が、その価格帯の子をサラッと購入していく場合もあるので、それと比較して、なおさらそう思ってしまいましたね。

 

 

貧乏の子どもは不幸だと思ったエピソード3.シビアな予算の現実

予算

 

そしてお話をしていくうちに分かったのですが、ご家庭での予算の150,000円というのは、「ほとんどが生体代金のみで済む」と思っていたのだとか。

お店にもよりますが、私が働いていたお店では、そういうわけにはなかなかいかないシステム。

 

まずは生体にそれまで行ったワクチン代の料金、そしてマイクロチップの料金。

さらには、ほとんどすべてのお客さんに勧めている、オリジナルのペット保険の料金が必要です。

そして、生体の生命保障の加入料金も加わります。

 

そこに生体の価格が上乗せされ、ようやくゲージやトイレや餌などの、飼育の初期費用に関する雑費の料金が加算。

車や家と同じで、その本体だけの価格というわけにはいかないのです。

 

お母さんたちは、「生体の金額+初期費用の雑費」くらいの認識でいたそうで……。

それに関しては、きてみないと分からないことなので、仕方がないと思います。

しかし、諸々の経費を計算すると、生体の価格に費やせるのは結局100,000円ほどになってしまったのです。

 

その時点で100,000円程度の価格で販売されている生体というのは、生後半年ほど経過してしまった大柄の子ばかり。

息子さんの理想では、小さな子犬を飼いたかったようなので、お母さんから「このなかから選びなさい」と言われて、大泣きしてしまいました。

 

貧乏の子どもは不幸だと思ったエピソード4.妥協した子も買ってもらえず

泣いている子ども

 

息子さんがショックを受けてしまうのも、仕方のないことなのかもしれません。

たしかに、私たちや動物自体を愛している人たちからすれば、どの子も大きくても個性があって可愛いもの。

命に優劣はありませんし、どの子にだって魅力はあります。

 

ですが、予算のなかで選べるのは、最初に彼が選んだ小さく華奢なチワワとは、似つかない子たちです。

屈強な柴犬、顔つきがとても端正とは言えないプードルなど……。

少なくとも、「息子さんの好み」とは言いづらい子たちばかりでした。

 

息子さんは、「嫌だ、この子がいい。せめてこの子がいい」と、ほかの子たちを指定します。

ですが、その子たちはどれも可愛く小さく、予算からは大きく超えてしまう子たちばかり。

 

結局、お母さんに「ワガママ言わないの!」と叱られて、なにも買ってもらえずに帰ってしまいました。

その子の悲しそうな悔しそうな顔が、今でも忘れられない私です。

 

貧乏な子はたしかに、普通よりは贅沢できないかもしれません。

ですが、一生に一度かもしれないペットを家族として迎えるときすらも、「こんな可愛そうな思いをしなくてはならないのか」と、心からかわいそうに思ったできごとでした。

 

まとめ

貧乏な家で育って悔しい思いをして、それをバネにして、大人になったときにお金を頑張って稼ぐことで、克服できる人は多くいると思います。

ですが、無力な子ども時代のときは、なかなかそうはいきませんよね。

 

彼がいつか、気に入った子を糸目なく家に迎えられるような、大人になれることを祈るばかりです。