30歳女性。地方公務員。公務員になる以前は、幼い頃からの夢を叶え、自分が一番勤めたかった企業に就職し充実した日々を送っていたが、これからの人生を考えて思い切って転職する。最初の配属先にて、独身女性の上司との折り合いが合わず、うつ病を発症、休職してしまう。人事異動によりその部署から離れることができ、現在は出先機関に出向中。
見出し
うつ病から仕事に就職後辛かったこと1.仕事を整理するときに過去を振り返り、苦しい日々がフラッシュバックしてしまう
うつ病と診断されたことにより、私は休職することになりました。
数カ月ののち、復職可能と診断されたものの、職場の上司との関係や仕事量の多さがきっかけでうつ病となったので、前の職場に戻ることを考えただけでパニックになりそうでした。
そこで、人事担当に相談した結果、新年度からは違う部署、しかも出先機関に出向するような形をとらせてもらえることになり、晴れて職場復帰することになりました。
しかし、久々にパソコンを開いたとき、それまで晴れていた心がまた苦しくなりました。
メールソフトを開いてみると、そこには私が休んでいた間も送られ続けていたCCメールの数々。
私に代わって仕事を担当した人と、先方とのやりとりが私にも送られていたのです。
私が休んでいた間、これまで私によくしてくれた人に仕事をさせてしまい、こんなにもまわりに迷惑をかけていたのだ、という罪悪感。
どうして休んでいる私にまで送りつけるのだろうという嫌悪感。
様々な負の感情が押し寄せてきました。
そんなメール、すぐに消してしまえばすむことだと思うことでしょう。
でも、そのメールを消す度に、辛かった仕事の一つ一つを思い出し、それを押し付けた上司の顔を思い出してしまい、とてもたえられませんでした。
新しい部署に配属されて、心機一転で頑張ろうと思っていた矢先のできごとでした。
うつ病から仕事に就職後辛かったこと2.電話がなる度にどうきがする
新しい部署になったので、おりが合わなくなった上司と、顔を合わせることがなくなったことで気持ちは楽になりました。
しかし、仕事を休んだことで迷惑をかけてしまい、その部署のほかの人にも合わせる顔がない、とも思うようになりました。
そのため、もしその部署から電話がかかってきて、うっかり出てしまったらどうしようと、悩んでしまいました。
前は笑うことすらできないくらい、ぼそぼそとしかしゃべられなかったのに、今や明るい声で電話応対できるようになったのです。
その明るい声で、前の部署の人の電話に出てしまったら、「うつ病はウソだったんじゃないか」と思われてしまうのではないか、という不安がよぎったのです。
だから、電話がなるたびに、私の心臓はどきっとします。
そして、電話に出る前には、必ず相手先の番号の表示を確認し、もし前の部署だったら、いそがしいフリをしてなんとかごまかしています。
うつ病から仕事に就職後辛かったこと3.前の上司が住んでいた付近に近寄ることができない
私の職場では、緊急連絡網として電話番号だけでなく、住所にいたるまで、部署内全員が知れるようになっていました。
そのため、誰がどの辺りに住んでいるのかだいたい分かっているのです。
うつ病になる前や闘病期間は、当然のように苦手な上司が住んでいる付近を通ることさえできませんでした。
それは、部署が代わって職場復帰しても変わることはありませんでした。
自分をここまで追いやった上司がにくくて仕方がないし、元気になった自分を見られたくないのです。
もし、ばったり出くわしたら、私はまたあのころの状態に、戻ってしまうような恐怖もありました。
だから、かつては行きつけだった飲食店も娯楽施設も、その上司の付近にあるお店なので、すっかり足が遠のいてしまいました。
それまで楽しみだったことが奪われてしまったのです。
うつ病から仕事に就職後辛かったこと4.気を使わせているように感じてしまう
新しい部署の同僚たちは、皆とても人柄がよく、丁寧に仕事を教えてくれました。
でも、当然私がうつ病をわずらっていたことは知っています。
だからこそ、こんなふうに自分の仕事の時間をさいてまで、丁寧に仕事を教えてくれているのだろう、意識して優しく接してくれているのだろう、とも考えてしまいました。
今思えば本当によけいな考えだったと思います。
でも、そんな風に気を使わせてしまっていることや、明らかに自分の仕事量がまわりより少なくて、ほかの人に仕事を回しているのだ、という罪悪感が、復職直後にはどうしても芽生えてしまうのでした。
うつ病から仕事に就職後辛かったこと5.前の職場に足を踏み入れることができない
出先機関に異動したとはいえ、前の部署がある建物での仕事もあるため、出向かなければいけないときは、ゆううつでした。
それは、苦手な上司や、迷惑をかけてしまった同僚に会いたくない、という気持ちのせいだけではありません。
その建物には、辛い思い出しかないのです。
一歩足をふみいれれば、あそこのトイレで吐いたこと、この階段から転げ落ちてしまいたいと思ったこと、そんな辛い思い出一つ一つがよみがえってきてしまうのです。
そのため、なるべくそこに行く仕事はなんとか理由をつけて、ほかの人にお願いしています。
そのお願いすることは、私がうつ病だった事実を思い起こさせるものなので、恥ずかしくもありました。
それでも、どうしても代わってくれる人がいなくてどうしても、おもむかなくてはいけないときがあります。
そんなときは、髪をおろし、だてメガネをかけ、誰とも目を合わせないようにうつむきながら歩きました。
そんなことをしている自分が、とても情けなくてみじめでした。
まとめ
うつ病を克服し、異動して職場復帰しても、新しい自分に生まれ変わって仕事することはできません。
どうしても、うつ病だった現実はおそってきます。
だからこそ、周囲の人たちは、なにごともなかったかのように、ふつうに接することで、うつ病患者にとっての「ふつうの日々」が戻ってくるのかもしれません。