29歳女性、専業主婦。幼少期からアトピーを患い、とくにひどい思春期には、いじめを受けたことも。現在、症状は落ち着いたものの、季節の変わり目にはジワジワとひどくなることも。
現在7ヵ月の乳児を育児中だが、子どもにアトピーの症状が出ないことを祈る毎日である。
アトピーが原因で受けたいじめエピソード1.水泳の授業
あれは、忘れもしない中学1年生の夏のこと。
当時、思春期を迎えていた私は、見た目にもアトピーだとわかるくらいに、悪化していました。
そんなアトピー患者にとって、憂鬱な季節、夏がやってきました。
半袖から出た腕は、普通にすごしても「うわっ。ひどいなぁ」など、言葉に敏感になっていました。
そんななか、とうとう、あの地獄の授業がはじまりました。
水泳です。
当時は、「アトピーの傷がひどいから」などどいう理由では、授業を休むことは許されず。
いつも、憂鬱な気持ちで更衣室へ向かいました。
更衣室では、数人の女子グループが、ヒソヒソと会話しているのに気が付きました。
「脱いだら、どうなってるんだろうね」と。
地味で目立たない、おまけにアトピーな私は、女子グループに言い返すことができません。
嫌な視線を感じながらも、着替えはじめました。
「うわ、やばくない?あれ」そんな言葉が、胸に刺さります。
あふれ出そうな涙を必死にこらえ、ようやく着替えをおえました。
「きもいわ。一緒の水入って、大丈夫なの?うつったりするんじゃないの?」と、ひそひそ話しの声。
いたたまれなくなり、そそくさと更衣室をあとにしたのです。
一緒にいた友人からは、「気にすることない」と言われましたが、心は折れそうになっていました。
プールサイドへ集まり、女子、男子と別れてかたまります。
若い肌に、思春期を迎えた男子の視線は、チラチラと集まります。
「私の肌を見て、どう思うだろうか」そう考えただけで、ゾっとしたのを覚えています。
男子は、口にこそ出しませんでしたが、きっと私の肌を見て、あちらこそゾッとしたのではないでしょうか。
そのあと、プールに入り男女別で授業がはじまりました。
先ほどの女子グループからは「あんまり、こっちに来ないでほしいね」と、容赦ない言葉を受けました。
授業を進めるなか、どうしても避けられず、近くに寄っていってしまいます。
「うわっ!」そう言われ、おおげさに避けるリアクションをする子。
無言で嫌そうな顔をする子。
完全に心が折れ切っていた私は、ひたすらはやく授業がおわるように祈りました。
こんな身体をさらさなければならない苦痛、恥ずかしさ、悔しさが入り交じり吐きそうでした。
アトピーが原因で受けたいじめエピソード2.男子を巻き込みエスカレート
水泳の授業をきっかけに、女子グループからのいじめは、エスカレートしていきました。
あからさまに避けられる、「汚いから寄らないで」などと、平気で暴言を吐く。
幸いなことに、そういったいやがらせを受けるのは、トイレであったり人が少ないところでした。
そのため、いじめられていることが、周りに知れ渡ることはありませんでした。
いじめを受けていることなんて、誰にも知られたくないもの。
そんな気持ちが当時は強く、誰にも相談できずにすごしていました。
ある日、いつものように教室に入ると、なんだかいつもと空気が違います。
このときの感覚は、今でも覚えています。
なんだか、ひんやりとしているような。
そのまま進むことを、ためらうくらい異様な空気感でした。
なにがいつもと違うのか、それは見てすぐにわかりました。
いつも目立った感じの男子グループが、こちらを見てニヤついていたのです。
あの女子グループを見ると、こちらもニヤニヤと笑っています。
なにが起こっているのか、わからないまま自分の机に向かいました。
そして、自分の机の上に置かれている、あるモノに気が付きました。
近づいてよく見ると、ノートの切れ端が一枚。
「アトピーは学校に来るな!」の文字。
ときが止まりました。
「動けなくなるって、本当にあるんだな」と、そんなことを思っていると。
「アトピーってうつるらしいよ」の、男子の声。
男子グループまでも巻き込むことで、さらなる追い打ちをかけてきたのです。
もう、心が追い付いていけませんでした。
授業がはじまるチャイムが鳴り、先生が教室に入ってきたところで、ようやく我に返りました。
男子グループも女子グループも、そそくさと退散していきました。
ノートの切れ端を握りしめ、悔しさでいっぱいになり、授業なんか頭に入りません。
しばらくは、ことあるごとに、「アトピー」と、言われていました。
男子グループが飽きはじめ、冬を迎えるころには、いじめはなくなっていました。
まとめ
思春期であるがゆえに、容赦ない言葉の刃は、心に突き刺さります。
今は地元を離れて生活しており、今後あのメンバーに会うことはないと思います。
でも、今でも、当時のことを思い出すと暗く重い気持ちになってしまいます。
これからも、忘れることができない、大きな傷を背負って生きていくことになるのでしょう。