20歳女性。大学生。
中学時代に、父の浮気疑惑がきっかけで、両親が離婚を考える。
しかし、父と母を説得することにより、それを回避した。
それから、家族に大切なのは、「信じる気持ち」だと考えるようになり、信じあえる家族をつくるのが、目標である。
親の離婚を止めたエピソード1.きっかけ
父は、仕事の都合で、数年間単身赴任をしていました。
距離も、県をいくつかまたぐほど、遠いので、会うのは長期休みだけ。
私が中学生だったときの、長期の休みでのこと。
いつもの長期休みのように、父が一人で住んでいるアパートに、母と一緒に遊びにきていました。
母は、男性の一人暮らしということもあって、汚れてしまった部屋のいたるところを丁寧に掃除。
カード類を整理しているとき、母がおもむろに、「え……」と言いました。
私も気になり、母の手もとを覗いてみると、そこにはキラキラしたカードが。
なんのカードか母に聞くと、カードを渡してくれました。
裏には、きらびやかな女性の写真と名前が記されており、父の名前がペンで書かれています。
どうやら、キャバクラの名刺のようでした。
父と母の約束で、「キャバクラには行かない」というものが、あったようですが……。
「会社での付き合いもあるでしょうし、仕方がないことではないかな」と、思った私。
しかし、母はそのまま、別のカードを渡してきました。
今度のは、先ほどのとはまた違い、そこまでキラキラしていませんでしたが、またキャバクラのカードようです。
また、裏を見てみると、先ほどの女性と、同じ人が写っていました。
名前も同じです。
それを見て、「その女性と、なにかあるのではないか」と、勘繰った母。
父が帰ってくるなり、こっそり父の携帯を覗きました。
すると、携帯からは、その女性とのやりとりが、たくさん出てきたのです。
どれも、「浮気をしている」と、はっきりわかるものではありませんでした。
ですが、二人が頻繁に、連絡をとっていることは明らかです。
さらに、母は父のカメラロールを覗きはじめます。
すると、そこには、先ほど写っていた女性の写真が、いくつか存在していました。
どれも、キャバクラの店内で撮ったもののようで、私は安心しましたね。
しかし、携帯をスクロールする母の手が、一瞬止まったのです。
一枚だけ、白い壁の前で撮った写真がありました。
父が、一人暮らししている部屋の壁は白です。
しかし、白い壁なんて、どこにでもありふれたもの。
「『父が、その女性を家に連れ込んだ』なんて、考えにくい」と、私は思いました。
しかし、母だけは、納得していない様子でしたね。
親の離婚を止めたエピソード2.追いつめられる両親
母は、携帯と先ほど発見したカードをもって、父に問い詰めました。
父は、少しうろたえている様子でしたね。
問い詰めた結果、キャバクラに行ったことや、その子と親しくしていたことは認めました。
ですが、「浮気という事実はない」と、ハッキリ否定。
白い壁も、「友人の家で、一緒に飲んだときのものだ」と言いました。
とにかく、「なにもしていない」と言うのです。
うろたえる父を見て、「これは浮気してるかもしれない」と思った私。
しかし、「数年間単身赴任をしている父が、そうなってしまうのも、仕方ないのではないか」とも、思ったのです。
母は、その場では納得したようでした。
父も、「キャバクラに行かない」という約束を破ったことを謝罪。
「父の事実がどうであれ、二人が仲直りしてくれてよかった」と、私は安心しました。
しかし、次の日も、その次の日も、母の様子がなんだかおかしいのです。
父のタンスをあさったり、部屋中をじろじろ見まわしていました。
ついには、ゴミ箱をあさりはじめたのです。
どうやら、彼女の痕跡がないか、探していたようで……。
少し明るい髪の毛を見つけて、発狂していました。
母は、限界を迎えていた様子。
その様子を見て、父も限界を迎えていました。
母の怒りや悲しみをなだめることに、疲れていましたが、それでも、父は浮気を肯定しません。
私は、「父が本当に浮気していない」と、信じるようになりました。
しかし、母は父を信じられず、ついに、離婚することになってしまったのです。
親の離婚を止めたエピソード3.危機
離婚するといっても、さまざまな手続きがあるので、とりあえず、その長期休み中にすることは、見送りとなりました。
離婚届は母の手もとにあり、二人が判を押すだけの状態で、保留に。
私も学校があるので、自分が住む街に、母と一緒に戻りました。
そこでも、母はどうしても落ち着かない様子。
母の様子を見たり、話をしたりする限りでは、母は父に裏切られたことが辛い感じでした。
しかし、「本当に裏切られたかどうかなんて、わからない」と、私は思っていたのです。
「あんなに愛し合っていた二人が離婚してしまったら、それこそ、本当に二人とも壊れてしまうのではないか」
私は、そう思いました。
両親が大切だったので、離婚だけは、避けたかった私。
なので、私はまず、父を元気づけることにしました。
離れて暮らしているので、電話やメールを駆使します。
父も「母への誤解を解きたい」と言っていて、「本当は、離婚なんてしたくない」とも言っていました。
父は、私の励ましにより、少しずつ元気を出してくれるように。
そこからは、私と父で、母の説得する毎日でした。
最初は、話を聞き入れてくれなかった母ですが……。
毎日しっかり話をすることで、だんだん父への信頼を取り戻してくれたのです。
結果、私たち家族は、離婚の危機を脱することに成功。
それから、しばらく母は、父の単身赴任先で暮らすことになりました。
二人は、「新婚時代を思い出す」と、幸せそうに暮らしていましたね。
しばらくして、父の職場が戻り、家族で暮らせるようになりました。
もう、あのころの危機は嘘のようです。
まとめ
私はこの件を通して、家族に大切なのは、「信じる気持ち」だと実感しました。
誤解が生まれることも、過ちを犯してしまうことも、人間誰しもあると思います。
でも、そこに愛があれば、信じる気持ちがあれば、乗り越えられるはずです。