38歳男性。シナリオライター。ゲーム業界出身。独立した後は出版業界にも手を出し始める。おかげでゲーム業界と出版業界両方の「絵師」と「自称絵師」に知り合いができてしまう。最近なんでも屋になってきたので、「自称シナリオライター」にならないよう気をつけねばと思っている。
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自称「絵師」にうざいと感じたエピソード1. 有名絵師との関係を自慢されまくる
私の知っている自称「絵師」は、基本的に絵をあまり描きません。
そのくせ、自分のことを絵師であると言い張ります。
実際のところ、彼は単なる「絵師のフォロワー」です。
SNSには、絵師と繋がりをもちたいと考えている人が多いのですが、彼はその中の1人にすぎないのです。
問題の彼はTwitterなどのSNSで、好きな絵師や気になる絵師を片っ端からフォローし、アプローチをはかります。
そして、相手からレスポンスがあったら「自分は有名絵師に認められた天才絵師だ」と言ってはばからないのです。
そのレスポンス自体も、「フォローありがとうございます」や「あなたの絵も見てみたいです」と言った、社交辞令的な物が大半なのに…。
「今日は◯◯さんと(ネット上で)話した」「やはり絵師同士話が会う」と得意気に話す彼の姿は、実にうざいです。
自称「絵師」にうざいと感じたエピソード2. ほかの絵師の悪口ばかり
万年漫画家志望で実質ニートの自称「絵師」の知り合いがいるのですが、とにかくほかの絵師を認めません。
「この絵師はここが下手だ」「この絵師は同じ絵しか描けない」「この絵師は知名度だけだ」…などなど、自分の画力を棚に上げて言いたい放題です。
私はゲーム業界出身で、それなりにデザイナーの知り合いが多く、絵師さんともたまに仕事をします。
私が「誰々と仕事をして、勉強になった」と、彼の絵の役に立ちそうな話をしようとすると、大抵噛み付いてきます。
「そんな絵師を起用するなんてセンスがない」からはじまり、「なぜ自分に頼まなかった」「自分ならもっとうまく描けるのに」と愚痴り続けます。
「じゃあ次は発注するから、サンプル絵を見せて欲しい」と言っても、「俺はプロだ。報酬がないとサンプル絵は渡さない」と言い出す始末です。
なにを基準に発注しろというのでしょう…。
おそらく彼は、ほかの絵師さんのあら探しをしてけなすことで、「自分ならこんな失敗はしない。だから自分はほかの絵師より優れた絵師だ!」と思い込みたいのでしょう。
しかし、ほかの絵師の良いところを、素直に取り入れて、自分の絵に活かすのも、スキルアップの大事な要素です。
そういった努力をせず、ただただ自分をすごい絵師だと信じて、他人の絵をこきおろす姿は、見ていて気持ちの良いものではありません。
自称「絵師」にうざいと感じたエピソード3. 下手なのに偉そう
あるゲームの仕事をしていたときに出会った、デザイン担当者が強烈でした。
出資者の紹介で登場した彼は、自分のことを「デザイナーやグラフィッカーではなく、絵師と呼んでください」と自己紹介しました。
この時点で地雷を踏んだ感触がありました。
ゲームのほとんどはすでにできていたので、あとはデザインを差し替えるだけの仕事だったのですが、製品サンプルを見た彼はいきなり「俺のイメージと違う」と言い出しました。
初対面なのでなにがどう違うのか、まったくわかりませんでしたが、出資者の紹介なので無下にもできません。
「ではイメージ画をお願いします」ということで、その場は終わりました。
しかしイメージ画がいつまで経っても上がってこず、開発期限も迫っているので、しかたなくサウンドを発注し、組み込んでいきました。
するとそれをプレイした彼がまた一言。
「俺のイメージと違う」
その瞬間、彼以外の全員が同じ1つの感情を共有しました。
「こいつ、ウザッ」
彼は「描かない絵師」だったのです。
いえ、正確には描きました。
専門学校生の平均レベルというか、フリー素材より下手な落書きのような絵を…。
その後、彼はゲームのタイトルを決めるときに「俺の絵はそういったタイトルを想定して描いてない」と権限もないのにリテイクを出し、いい加減怒ったクライアントにつまみ出されていました。
聞けば、彼はデザインの仕事どころか、仕事をすること自体はじめてだったそうです。
自称絵師が出資者とのコネを持つと、ここまでうざくなるのか…と身をもって知ったできごとでした。
自称「絵師」にうざいと感じたエピソード4. 描かないのに仕事を欲しがる
私は出版の仕事もしているのですが、それを知って擦り寄ってきた自称絵師がいました。
実はかつての同級生なのですが、漫画を執筆したいらしく、出版社を紹介して欲しいとのことでした。
マンガ原稿の持ち込み、先方の電話番号を教えたりもしたのですが、なんだかんだと自分からアポを取りません。
その理由を聞くと「最近出版社から声をかけられて忙しいから」「俺の作品のアニメ化企画が進行しているから」と、景気の良さそうな話ばかり。
どう考えても、自分を大きく見せるためのウソでした。
そういったウソが嫌いな私は、彼にもウソをおみまいすることにしました。
私が出入りしていたのが大手出版社だったので、「大手出版社でロボットが描ける漫画家を募集してるけど紹介しようか?」と言ってみたのです。
実際にそういった話もあったので、完全なウソではないのですが、彼には抜擢されるほどのスキルはありません。
案の定食いついた彼は、その日から「担当者に合わせろ」と矢の催促です。
共通の知人から聞いたのですが、彼は何人かに「大手からスカウトされた」「俺も「絵師」としてはくが付いてきた」と言いふらしているとのことでした。
どうやら彼の中では、自分が「スカウトされた」ことになっていたようです。
連日の催促がうざくなった私は、彼に「コンペだからサンプル描いて」と言いました。
これで彼がやる気を出して、本当に素晴らしい作品を描いてくれたら、知り合いの編集者に見せてもいいかも…とも思っていました。
しかし、コンペと言った瞬間にピタッと音沙汰がなくなりました。
絵師は最終的には実力の世界です。
ひたすらコネに頼って仕事をつかもうとする彼のやり方は、本当にうざかったです。
まとめ
「絵師」とは自称するものではなく、他人から自然に「絵師」と言われるようになるものだと思います。
自称絵師達は、「有名になりたい」「ちやほやされたい」「自分はすごい(はず)」という意識で動いていることもあります。
他人に対して必要以上のうざさを発揮してしまうのだと思います。