35歳女性。製薬企業勤務。
高校時代は、男女交際禁止をはじめ、厳格な校則があることで知られる、女子校に通っていた。
小学校のころから、男子の粗野で乱暴なところが苦手で、大学生になるまで交際の経験ゼロ。
浮気癖のある男にだまされ、みつがされたこともあるが、そのあと健全な恋愛をへて結婚、平穏な家庭を築いている。
趣味は、英会話とショッピング。
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マジありえない! 色恋沙汰のエピソード1. 付き合いはじめたその日に浮気
付き合いはじめとは、おたがいの気持ちが一番高ぶり、幸福に満ちた瞬間であるべきですが、私の場合は違っていました。
意を決して告白し、「俺も好きだった」と言ってもらえた、その24時間以内に、まさか浮気をされるとは、夢にも思いませんでしたね。
彼は、農業と酪農が盛んな、見渡す限り、緑の大地というところで育った人でした。
そんな彼と出会ったのは、大学1年生の新入生歓迎コンパ。
格好つけて、標準語を話しているくせに、めちゃめちゃなまっている姿に、なぜか母性本能がくすぐられてしまいました。
そう、私の一目ぼれ。
思い返してみると、彼は典型的な大学デビュー。
自分を格好良く見せようと、必死だったところに、たまたま、もとの顔だちが良かった彼。
そのため、あれよあれよという間に、サークル内のイケメン枠に担ぎ入れられてしまい、変な自信をもってしまったのでしょう。
彼と付き合えることになり、幸せの絶頂だった私は、所用があってサークルに顔を出しました。
その時間は、大体の学年がなんらかの授業に出席している時間でしたが、私が受講予定だったクラスが休校となったため、サークルで時間をつぶそうと出向いたのです。
そこで見たのは、付き合ってまだ数時間しかたたない彼が、サークルの先輩女性と一緒に、毛布にくるまり、いちゃいちゃしている姿でした。
いちゃいちゃといっても、文字どおり過度のスキンシップをしていただけで、目を覆うような惨状というわけではありません。
しかし、私はショックでその場に凍りつき、そのあとも笑いながら、忘れ物を探すふりをして、二人をやり過ごすことしかできませんでした。
その日の夜、私の家を訪れた彼は、私にこう言い放ったのです。
「仲のよい先輩となら、別にああいうことをしても、俺は不思議には思わない。逆の立場なら俺は別に気にしない。俺と先輩の友情に、彼女が口を出してくるのはどうなのか。心が狭い」と。
私も当時恋愛経験値が不足していたので、「男の人の理屈はそういうものなのかな? 受入れなくてはいけないのだろうな」と、妙に物わかりよく、彼の主張を受け入れてしまいました。
マジありえない! 色恋沙汰のエピソード2. メル友と浮気され、反撃に出る
これも同じく、田舎っぺ彼氏とのできごとです。
彼は、当時適当な携帯番号宛てにメールを送り、メル友をつくるということが流行っていたので、これを利用して浮気相手の物色をはじめていました。
私が本格的に体の関係をもった浮気を認知したのは、彼がメル友とのやり取りに、はまって2ヵ月ほど経ったころ。
彼が急に、「親戚のおばさんが遊びにくるが、人見知りな人なので、お前はしばらく俺の家にくるな」と言い出したのです。
「怪しい」と思い、おばさんの帰省予定日に、彼が家を空けたタイミングを見計らって、合鍵を使い、家宅捜索を決行。
その結果、情事の痕跡を発見してしまいました。
そしてこのとき、そのほか複数のメル友と、実名で文通をしているという事実もつかんだのです。
私は、その文通相手のなかから、次に彼が会おうとしている相手の住所をメモすると、急ぎ自宅に戻って、その相手宛てに、こう手紙を書いて即日投函。
「自分は彼女である。彼はあなた以外にも、多数の女性と体の関係を持とうとしている。彼と会うのはやめてほしい」と。
数日後、手紙に記した電話番号に、相手から連絡が入りました。
なにを言われるかとドキドキしましたが、彼女は私に、彼をハメる計画を話し出したのです。
彼女の立案にのり、私は彼と彼女の浮気現場にあえて鉢合わせ、彼女が彼に「馬鹿にするな!」とビンタをいれ、私も彼に別れを告げました。
仕あげに、彼女と私で彼の携帯を取りあげると、送受信履歴からたどったメル友女性数名に、現状を報告する文面を打ち込み、一斉送信したのです。
マジありえない! 色恋沙汰のエピソード3. 復縁を迫られた矢先になぜかふられる
すったもんだの末に、お別れした田舎っぺ彼氏でしたが、なぜかそのあとに復縁を迫るメールが、大量に飛んでくるように。
ことさら大げさに、体調不良をアピールして失恋で傷心している自分を演出しており、同じサークルの男性陣からは、ひどい仕打ちをした私が、悪女呼ばわりされる始末でした。
サークルの男性陣からの後押しもあり、何度も断っていた食事の誘いに、結局乗ることにした私。
しかし、その食事の場で彼から、「お前の気持ちにこたえられなくてごめん。本気で好きな人ができたんだ。別れてくれ」と、言われたのです。
私としてはすでに別れていたつもりだったので、「別に私に断らなくても、あなたの好きにすればいいんじゃないの」と答えました。
すると、こう言って握手を求めてきたのです。
「理解してくれてありがとう! 俺のことをあんなに思ってくれていたお前が、別れを承諾してくれるかどうか、気がかりだった! これからおたがいの道を歩もう!」と。
理解不能な状況に、場の流れにのせられるまま、握手を交わし、店を出ました。
ですが、あとからじわり、じわりと状況の理不尽さに腹がたった私。
そこで、彼に電話をかけてみると呼び出し音が「おつなぎすることができません」というアナウンスに変わっていたのです。
マジありえない! 色恋沙汰のエピソード4. ついに彼の実家に連絡を取り、貸していたお金を親から直接返してもらう
田舎っぺ彼氏の理不尽な仕打ちに、怒り心頭だった私は、数日考えた末に、彼のご両親に一筆文をしたためることに。
恋愛事情から話がそれてしまいますが、彼は身の丈に合わないものを買う浪費癖があり、光熱水費や家賃のための仕送りにも手をつけていました。
そのため、肝心の引き落としが行われず、督促を受けることが頻発していたのです。
ある日、彼が私に助けを求めたため、軽い気持ちでそれに応じたところ、つけあがって、かなりの額を工面する羽目に。
彼のご両親へは、彼と付き合っていたこと、そのときに何度も浮気をされ、辛い思いをしたが、「男の甲斐性と思え」と言われ我慢してきたこと。
その後の別れと理不尽な対応を、包み隠さずお伝えしました。
金銭的な部分も、ご両親の仕送りに手を出して買い物三昧だったこと、浮気のための旅費に使っていたこと。
そのため、生活費の補てんを私が行っていたことを告げました。
後日、私の住所に、見知らぬご夫婦が。
彼のご両親が、遠路はるばる、謝罪のためにやってきたのです。
私から直接話を聞いたうえで、しかるべき対応をとりたいということで、自宅に招き入れ、状況を説明。
証拠として残していた、浮気相手とのメールや、文通の内容を見せたところ、ご両親が「済まなかった」と、頭を下げてこられました。
突然の事態に私もひどく恐縮していると、お父さんがカバンのなかから茶封筒を取り出し、「本来は愚息から返すべきものですが」といって、私に差し出したのです。
そこには私が彼に貸した額に、少し色のついた金額が入っており、押し問答の末、受け取ることで和解。
さらに数日後、彼が大学を休学したそうです。
あのあとご両親が、実家まで彼を強制送還したのだと、人づてに聞きました。
まとめ
私がはじめてお付き合いした男性は、強烈なエピソードをたくさん残していってくれました。
今となっては笑い話ですが、当時はどれも私にとって神経衰弱させるできごとで、しばらく「恋愛はいらない」とさえ、思いましたね。
街を歩く数多のカップルたちも、ひょっとしたら壮絶なエピソードを乗り越えて、今があるのかもしれません。