50歳女性。職業は、看護師。人並以下の容姿を含めた、さまざまな理由により、恋愛による失敗を繰り返したことで、結婚に興味を失い、いまだ独身の道を歩み続けている。最近になってやっと「年齢を重ねれば、美人の価値は激減する」という事実を目の当たりにしはじめ、若い頃の呪縛から解放されつつある。
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美人を羨ましいと感じてしまったエピソード1.たとえ子供でも美人は得だ!それを、思い知った10歳でのできごと
当時10歳だった私の一番の仲良しは「ななちゃん」という女の子でした。
どちらかといえば、「ブサイク」な部類の私に比べて、「ななちゃん」は色が白くて目がぱっちりとして、まるで、お人形さんのような可愛らしい女の子。
しかし、当時「引き立て役」という言葉の存在すら認識していなかった私は、なんのためらいもなく、ななちゃんと一緒に、遊びまわっていたのです。
そんな、ある日、二人で通っていた、「お習字教室」で、書き上げた作品を一人ずつ、先生にみてもらうという機会があり、私は、「ななちゃん」の後ろに並んでいました。
先生は、初老の男性で、ちょっと気分屋で、威圧的なところがあり、あまり好きな先生ではなかったのですが、この先生がことのほか、「ななちゃん」のことを可愛がっていたのです。
このときは、全員に同じお手本が配られていましたが、その文章の一部が明らかに間違っていました。
私とななちゃんは、「これはお手本が間違っているよね」と相談して、文章を書きなおして、提出したのです。
ななちゃんが、お習字を提出すると、先生は「よく、お手本の間違いに気づいたね。えらいね。」と、ななちゃんを褒めました。
それを聞いて、私は得意満面。
「きっと、私も褒めてもらえる」と思い、意気揚々と作品を提出したのです。
しかし、先生の反応は予想外の物でした。
「どうして、お手本通りに書かないのか、勝手なことをして」と怒り出す始末。
子ども心にも、納得がいかないと思った私は、「ななちゃんだって、変えて書いてたもん!」と反論したのです。
そういったとたん、さっと先生の顔色が変わりました。
一瞬、言葉につまりましたが、次の瞬間、信じられない言葉を私に浴びせたのです。
「ななちゃんは・・・・可愛いから、いいんだ!!!」
衝撃でした。
すべての概念がくつがえされるできごとだといっても、過言ではありませんでした。
こうして、私は「美人は得である」という事実をわずか10歳にして、身をもって思い知ったのです。
美人を羨ましいと感じてしまったエピソード2.はじめての恋!そこに立ちはだかる学園一の美人!
子どものころの衝撃が尾を引いていたのかもしれません、それ以来、私は恋愛に対して臆病になっていました。
所詮、選ばれるのは「きれいな女の子」、私なんてという思いが、胸に刻まれたのだと思います。
しかし、そんな私にも、ついに「はじめての恋」のチャンスが訪れました。
相手は、2年先輩の学園の生徒会長で、明るくて人気者であり、成績優秀なスポーツマン。
しかも、なかなかのイケメンです。
生徒会の仕事が多忙であったため、その手伝いとして、生徒会にちょくちょく顔を出すようになった私は、そんな、あこがれの先輩と、冗談を言い合えるほどの仲になっていました。
心なしか、ほかの人に比べて、私に話しかけてくれる回数が多いように感じましたし、「もしかしたら」という思いと、「まさか、あり得ない」という思いで、揺れ動いていたのです。
まわりの友人たちに背中を押されたこともあり、思い切ってバレンタインに告白を。
照れくさそうに受け取ってくれた先輩からの返事は、「ちょっと、考えさせて」というものだったのです。
その翌日、私が生徒会室に出向いていくと、中から二人の男性の声が。
どうやら、一人は、あこがれの生徒会長。
もう一人は、その友人のようです。
「・・・に告白されたんだけどなあ」との生徒会長の声に、「私のことが話題になっている!?」と、心臓がバクバクと音をたてました。
「実は、A子(私と同じ学年の、学園一の美人の名前です)にも、告白されてさあ」と続けた先輩。
友人が、こうたたみかけます。「えーすごいじゃん、俺なら、ぜったいA子だわ。自慢できるし。」
さらに心臓が高鳴り、息を殺して、先輩の次の一言に、聞き耳をたてました。
その言葉は・・・・・。
「そうだなあ~○○(私の名前)は性格はいいけどさあ、正直ブサイクだし・・・・・」
それから、どうやって、その場を立ち去ったのか、どうやって家に戻ったのか、覚えていません。
結局、先輩はA子と付き合うことになり、はじめての恋は、大失恋に終わりました。
このできごとは、私が10歳のときに受けた傷を、さらに深いものにすることとなったのです。
美人を羨ましいと感じてしまったエピソード3.初めての彼氏に、言われた言葉に衝撃!美人が羨ましい!
そんな私も24歳になり、看護師として、総合病院の手術室で働くようになりました。
そこで、新しく赴任してきた、整形外科のドクターを親しくなり、お付き合いするようになりました。
もちろん、院内では、このことは秘密です。
仕事がやりにくくなりますからね。
超イケメンとはいいませんが、優しくて、穏やかで、なにより私のことを大事にしてくれます。
これで、すべてのトラウマから解放されると、思いはじめた矢先のできごとでした。
親友が、私の彼のマンションで、洗濯物を干している、私以外の女性を見たというのです。
そんなはずはない、なにかの間違いだと思いましたが、不安は消えません。
そのうち、同じ手術室で働く、B子が、私の彼である整形外科医とお付き合いしているという噂がたちはじめました。
B子は石原さとみを、もう少しひかえめにしたような、かなりの美人ですが、年齢は、私より5歳ほど上になります。
結婚相手は絶対に医師を選ぶと豪語する、野心家でありながら、男性の前では、そんなそぶりを一切見せないという、かなりしたたかな女性。
思い余って、彼を問い詰めました。
はじめは、言葉を濁していた彼でしたが、ごまかしきれないと悟ったのでしょう。
実は、B子とも付き合っていると認め、申し訳ないと謝ってもくれました。
しかし、その次の言葉は、またもや、私を打ちのめすのに、十分な内容だったのです。
「医者ともなると、やっぱり、きれいな彼女じゃないと、恥ずかしいって先輩が言うんだよ」
こう口走ったあとで、しまったという顔をして、「俺はそう思わないけど」と付け足しましたが、これが彼の本音であることは容易に想像できました。
一気に気持ちが冷め、私の方から別れを切り出しましたが、そのときのほっとした顔を思い出すと逆に、あっさり別れてやるのではかなったと、自分の浅はかな行動が悔やまれます。
なにはともあれ、こうして、私の傷は、さらに深いもへと変貌を遂げたのでした。
まとめ
「美人が羨ましい」となんど思ったことでしょう。
でも、年齢を重ねた今、私が選ばれなかった理由は、それだけではなかったのかもと思うようになりました。
あのとき、あきらめずに、プライドをかなぐり捨てて、相手の心に訴えかけていたら・・・・そうすれば、もしかしたら、道が開けていたのかもしれませんね。