31歳の専業主婦です。
現在は副業をはじめ、なんとか落ち着いた生活を取り戻すことができました。
就職で悩んだあの二年間は、本当に今思い返しても辛いものだったけれど、家族の絆が深まった、大切なできごとでもあったのです。
仕事を変えて以来、夫は笑顔が増えたように思いますね。
今では毎日元気に、仕事に向かっています!
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夫の退職から復活したエピソード1.アルバイトからの転職
夫とは職場で知り合い、つき合って一ヶ月で、すぐに同棲をはじめました。
その後、半年で子どもができ、私の誕生日に合わせて入籍。
トントン拍子でいろんなことが進むなか、私の唯一の心配のタネは、夫の仕事に関してのことでした。
実は私たちが知り合った職場というのは、レンタルショップのアルバイトだったのです。
私の妊娠が分かってからは、夫になんども職替えをするよう訴えました。
私たちの貯金は、子どもひとり育てるには、あまりにも心許ない金額だったからです。
「このままじゃ、生活していけない……」
妊娠中は、心穏やかに過ごすことがよいとされているのに、私の心は荒れに荒れていました。
夫は仕事を探すことにあまり乗り気ではなく、もともとが面倒くさがりやで、「責任を負いたくない、たいへんな仕事はしたくない」
そしてなにより、仕事を探す手間と、履歴書などの書類を書くことが大っ嫌いでした。
夫は、資格をなにも持っていません。
資格が必要な仕事を選ぶことはできませんでした。
結局私が無理やり仕事を選び、自己アピールの欄の文章まで考えてあげて、ようやく重たい腰があがったのです。
それでも結果は惨敗。
正社員への道のりは、非常に長く、険しいものでした。
夫の退職から復活したエピソード2.知人の紹介で入った仕事
妊娠して9か月。
もうすぐ子どもが産まれてしまうというときに、夫は相変わらずレンタルショップで働いていました。
仕事を探しているようすはありません。
公務員である私の父に、仕事を探す手間を丸投げしたり、なにもかも他人任せ。
ちなみにこのころ父からの夫の評価は最悪で、地に落ちていました。
でも、お腹の子どもが順調に育っているこの時期に、いまさら、関係をどうこう言う訳にもいきません。
私は不安で不安で、なんども親に泣きつきました。
ストレスで体調を崩し、将来のことを考えると、絶望しかなかったのです。
そんなとき、転機が訪れました。
私の母の知り合いが大工をやっていて、「弟子に入らないか」という話をいただいたのです。
すぐに夫に話を通して、ほどなくして夫の転職が決定。
正直私にとっては救いでしかなく、願ってもいないお誘いでした。
けれど夫にとっては、その転職こそが、憂鬱な日々のはじまりだったのです。
夫の退職から復活したエピソード3.大工として働きに出た一年間
夫は夫なりに努力していました。
おそらく、大工である知人に「ちゃんとしなきゃダメだ」と、強く言われたのでしょう。
大工道具を揃え、作業服を買い、夫は毎日私がつくるお弁当を持って、働きに出ました。
大工道具も、タダではありません。
最初のうちはある程度は従業員が貸してくれたり、安く譲ってくれたりしたものの、揃えなければならない道具が、ほかにもたくさん残っていました。
それでも、贅沢は言えません。
身を切るような思いで、食費を切り詰め、なんとか、慎ましく生活を送っていました。
やがて娘がこの世に誕生し、私は子育てにかかりっきりに。
夫が家事を手伝ってくれないことに不満をもち、産後のイライラから八つ当たりしてしまうこともありました。
夫はこのころからずっと、「大工を辞めたい」と感じていたそうです。
ある日、夫が意気消沈して仕事から帰宅したとき。
私は、胃のなかがぐるぐると、なにか得体の知れないものが、うずを巻いているような、漠然とした不安を感じていました。
夫の退職から復活したエピソード4.大工を辞めて、それから……
大工をはじめて一年が経過したころ、夫は「大工を辞めたい」と言い出したのです。
また、あのころの就職先が決まらない、絶望の日々がよみがえるのかと思ったら、私は素直にそこで「いいよ」とは言えませんでした。
「子どものことはどうするの? そんなんで生活なんてしていけるの? 仕事なんて、我慢が当たり前なんだから」
「次の仕事がすぐに決まる保障なんて、どこにもないじゃない」
カッと怒鳴りたくなる自分をぐっとたえ、私は夫の話に耳を傾けました。
どうやら夫は、職場でちょっとしたイジメにあっていたそうなのです。
夫は、あまり要領のいいタイプではありません。
仕事が丁寧すぎると周りに言われ、よく愚痴愚痴と文句を言われたそうです。
「個人でやっている大工さんは、一癖も二癖もある」と、以前母からそんな話を聞いたことがあったので、おそらく仕事はできるけど厳しい方だったのでしょう。
大勢で無視をしたり、みんなで行く食事にひとりだけ誘わなかったり。
大工の男の人、しかも大の大人がやることにしては、「妙にネチネチして陰湿だな」と感じました。
勿論、夫の話がすべてだとは思っていません。
それでも夫は、そんな経験は生まれてこの方はじめてだったため、弱っていました。
きっと急にいろんな責任がのしかかってきたから、プレッシャーに耐えきれなかったのだと思います。
もともとが、そういうことから逃げ出したいタイプなので。
夫の話をよく聞いてみると「以前働いていた場所で、もう一度働きたい」とのことでした。
夫が以前働いていた、というのは、レンタルショップではなく、私と出会う前に勤めていた小さな金物屋のこと。
そのときも親戚のツテで入ったとのことなので、私は今すぐその親戚に連絡を取るよう、勧めたのです。
空きがあるとのことで、「すぐにでも入社できる」と言われました。
大工を勧めてくれた知人には、本当に申し訳なかったけれど。
私も夫には、甘すぎだったかもしれないけれど。
でも、夫のあんな顔を見てしまっては、とても転職を勧めずにはいられませんでした。
「どういう仕事がしたい?」と聞いたら、「ヒモになりたい」と言うような夫です。
「やりたいことが特にない」「働く意欲がない」とも言っていました。
その夫が、自ら「やりたい」と言い出したことです。
「ちゃんと責任持てるの?」と念を押し、夫は「もう辞めたりしない」と、私や娘に誓ってくれました。
そうして大工を辞め金物屋に就職してからは、私も夫も、見違えるように元気になっていったのです。
まとめ
今も夫は、自分があのとき「やりたい」と言い出した、小さな金物屋に勤務。
お給料は決して高いとは言えないけれど、私たちは細々とでも、幸せに暮らしています。
あのとき職替えを勧めて、本当に良かった。
頭ごなしに否定するのではなく、きちんと夫の話に耳を傾けたことで、いい運気がめぐってきたのだと思います。